旧正月とは?2026年の日程・各国の祝い方・日本との関係を徹底解説

「旧正月っていつなの?」「春節と何が違うの?」「なぜ日本では祝わないの?」

旧正月は、世界の約20億人が祝うとされる一大イベントです。中国の「春節」、韓国の「ソルラル」、ベトナムの「テト」など、各国で呼び名や風習が異なります。日本に住んでいると縁遠く感じるかもしれません。しかし、近年のインバウンド需要や国内の中華街イベントを通じて、日本でも旧正月への関心が年々高まっています。

この記事では、旧正月の意味や由来から各国の祝い方、縁起物の食べ物、タブー、そして2026年以降の日程まで網羅的に解説します。旧正月に関する疑問がすべて解決する内容をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

旧正月の基本知識:意味・由来・仕組みをわかりやすく解説

旧正月とは何か

旧正月とは、旧暦(太陰太陽暦)の1月1日のことです。現在使われているグレゴリオ暦(新暦)とは異なる暦に基づいています。旧暦は月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた暦法です。

新暦の1月1日が毎年固定されているのに対し、旧暦の1月1日は年によって変動します。そのため、旧正月の日付は毎年1月下旬から2月中旬の間で移動するのが特徴です。

旧暦(太陰太陽暦)の仕組み

旧暦の正式名称は「太陰太陽暦(たいいんたいようれき)」です。月の満ち欠けの周期(約29.5日)を基本に、太陽の動きも考慮して調整されています。

太陰暦だけでは1年が約354日となり、太陽暦より約11日短くなります。このズレを修正するために、約3年に1度「閏月(うるうづき)」を挿入します。この仕組みにより、季節と暦のズレを抑えているのです。

旧正月の日付が毎年変わるのは、この太陰太陽暦の計算方法に起因しています。新月の日を「朔日(ついたち=1日)」とする原則に基づき、旧暦1月1日が決まります。

旧正月と春節の違い

「旧正月」と「春節」は、基本的に同じ日を指します。ただし、使われる文脈が異なります。

「旧正月」は日本語における一般的な呼び方です。旧暦のお正月全体を指す幅広い言葉として使われます。一方、「春節(しゅんせつ)」は中国語圏で使われる呼称です。中国語では「春节(チュンジエ)」と表記します。

英語では「Lunar New Year(ルナー・ニューイヤー)」が近年の主流です。かつては「Chinese New Year」と呼ばれることが多かったものの、中国以外の国々でも祝われるため、より包括的な表現が好まれるようになりました。

呼び方使用地域・言語備考
旧正月日本旧暦の正月を指す一般用語
春節(チュンジエ)中国・台湾・香港中国語圏での正式名称
ソルラル韓国韓国語で旧正月の意味
テトベトナム正式名「テト・グエン・ダン」
Lunar New Year英語圏国際的に使われる表現

旧正月の歴史と起源

旧正月の歴史は非常に古く、紀元前1600年頃の中国・商(殷)の時代にまで遡ります。当時は年末年始に神々や先祖へ祭祀を行い、豊作を祈る行事として始まりました。

その後、漢の時代(紀元前206年~220年)に太陰太陽暦が正式に制定されます。これにより、旧暦1月1日を新年の始まりとする習慣が確立しました。以来、2000年以上にわたってアジア各地で受け継がれてきた伝統行事です。

日本にも中国から暦法が伝来し、飛鳥時代の604年に初めて暦が採用されました。それ以降、明治時代に新暦へ切り替わるまで、日本でも旧暦に基づくお正月が祝われていたのです。

2026年の旧正月はいつ?今後の日程一覧

2026年の旧正月は2月17日(火)

2026年の旧正月(旧暦1月1日)は、2月17日(火曜日)です。中国では前後を含めた大型連休が設定されます。2026年は2月15日(日)から2月23日(月)までの9連休となる見込みです。

この期間は中国国内で延べ95億人が移動するとも報じられています。まさに世界最大級の人口移動が発生する時期です。

2026年は「丙午(ひのえうま)」の年

2026年の旧正月からは、干支(十二支と十干の組み合わせ)で「丙午(ひのえうま)」の年に入ります。60年に一度巡ってくる特別な組み合わせです。

中国の伝統では「火の馬」と呼ばれ、行動力・情熱・自立心の象徴とされています。2026年2月17日には金環日食(「炎の輪」とも呼ばれる天文現象)が起こることでも注目を集めました。火の馬の年が日食で始まるという珍しい巡り合わせです。

日本では「丙午生まれの女性は気性が激しい」という迷信がかつて広まりました。前回の丙午(1966年)には出生率が大幅に下がったことでも知られています。ただし、現代ではこの迷信の影響はほぼなくなったとされています。

今後の旧正月の日程一覧

旧正月の日付は毎年変動します。旅行や出張の計画を立てる際には、以下の表を参考にしてください。

旧正月(旧暦1月1日)干支
2026年2月17日(火)丙午(ひのえうま)
2027年2月6日(土)丁未(ひのとひつじ)
2028年1月26日(水)戊申(つちのえさる)
2029年2月13日(火)己酉(つちのととり)
2030年2月3日(月)庚戌(かのえいぬ)
2031年1月23日(金)辛亥(かのとい)
2032年2月11日(水)壬子(みずのえね)

1月下旬から2月中旬にかけて変動していることがわかります。早い年は1月23日、遅い年は2月中旬以降になることもあります。

旧正月を祝う国と地域:世界の祝い方を比較

中国の春節(チュンジエ)

中国の春節は、国民にとって最も重要な祝日です。年間を通じて最大の連休が設定されます。2026年は2月15日から23日までの9連休です。

春節の代表的な風習は以下のとおりです。

  • 大晦日(除夕)に家族が集まり「年夜飯(ニエンイエファン)」と呼ばれる豪華な食事を囲みます。日本の大晦日の年越しと似た雰囲気です。
  • 深夜0時になると爆竹や花火を盛大に打ち上げます。これは「年獣(ニエンショウ)」という怪物を追い払う伝説に由来します。
  • 子どもや未婚の若者に「紅包(ホンバオ)」と呼ばれる赤い封筒に入れたお年玉を渡します。赤は魔除けの色とされています。
  • 家中を赤い飾りで装飾します。「福」の字を逆さまに貼るのは「福が到来する」という意味の洒落(「倒」と「到」の発音が同じ)です。
  • 元旦以降は親戚や友人を訪問し、新年の挨拶を交わします。この習慣を「拝年(バイニエン)」と呼びます。

春節期間中は、中国全土で「春運(チュンユン)」と呼ばれる大規模な帰省ラッシュが発生します。鉄道・航空・バスなどすべての交通機関が混雑します。2026年は延べ95億人が移動すると報道されました。

韓国のソルラル

韓国では旧正月を「ソルラル(설날)」と呼び、秋夕(チュソク)と並ぶ最大の名節としています。旧暦1月1日を中心に前後1日ずつ、計3日間が公休日です。2026年は2月16日(月)から18日(水)が休日となり、前後の週末を合わせると最大9連休になります。

ソルラルの代表的な過ごし方を紹介します。

  • 当日の朝、新しい服「ソルビム(설빔)」に着替えます。韓服(ハンボク)を着る家庭も多く見られます。
  • ご先祖様を祀る儀式「茶礼(チャレ)」を行います。祭壇に供物を並べ、ご先祖様に感謝を伝える大切な儀式です。
  • 年長者に対して「セベ(세배)」という新年の挨拶を行います。ひざまずいて深いお辞儀をする礼儀作法で、目上の方から「セベトン(세뱃돈)」というお年玉をもらいます。
  • 家族でトックッ(떡국)という餅入りのスープを食べます。トックッを食べることで「1つ歳を重ねる」とされています。
  • 「ユンノリ(윷놀이)」というすごろくに似たボードゲームや、凧揚げなどの伝統遊びを楽しみます。

ベトナムのテト

ベトナムでは旧正月を「テト(Tết)」と呼びます。正式名称は「テト・グエン・ダン(Tết Nguyên Đán)」で、「元旦の節句」を意味します。ベトナム人にとって最も重要な祝日であり、西暦の正月よりもはるかに盛大に祝われます。

2026年のテト休暇は2月14日(土)から22日(日)頃までの約9日間が見込まれています。

テトの過ごし方には独自の文化があります。

  • 梅や桃の花を家に飾って新年を迎えます。北部では桃の花、南部では梅の花が好まれます。花は春の訪れと幸運の象徴です。
  • 「バインチュン(Bánh Chưng)」という四角い餅を作ります。もち米・豚肉・緑豆を笹の葉で包んだ伝統料理です。北部を中心に各家庭で手作りされます。
  • テト前には大掃除を済ませ、新しい服や飾りを用意します。テト当日は掃除をしてはいけないとされています。
  • 家族で先祖を祀り、お寺に参拝します。新年最初に家を訪れる人(「xông đất」)が一年の運を左右するとも信じられています。
  • 赤や黄色の封筒に入れたお年玉「リーシー(lì xì)」を子どもたちに配ります。

シンガポールの旧正月

シンガポールは多民族国家ですが、人口の約75%を中華系が占めます。旧正月は2日間の祝日です。

シンガポール独自の風習として特筆すべきは「ローヘイ(撈起)」です。魚の刺身や野菜を大皿に盛り、家族や同僚と一緒に箸で高く持ち上げながら混ぜる儀式的な料理です。高く持ち上げるほど運気が上がるとされ、新年会では必ずと言ってよいほど登場します。

また、みかんを2個ずつ手渡す習慣もシンガポールやマレーシア独特の文化です。みかんの広東語が「金」と似た発音であることから、富を願う意味が込められています。

マレーシアの旧正月

マレーシアでも旧正月は2日間の祝日です。中華系マレーシア人(人口の約23%)を中心に祝われますが、多文化社会であるマレーシアでは他の民族も一緒に楽しむ風潮があります。

マレーシア独自の風習に「イーサン(魚生)」があります。シンガポールのローヘイと同様の料理で、縁起のよい食材をふんだんに使った伝統料理です。中国本土にはない東南アジア独自の文化として注目されています。

台湾の春節

台湾でも春節は最も重要な祝日であり、最大9連休となることがあります。中国本土と似た風習が多いものの、独自の文化も根づいています。

台湾の春節では「走春(ゾウチュン)」と呼ばれる初詣のような風習があります。新年の最初にお寺や廟(びょう)を訪れ、一年の無事と繁栄を祈ります。龍山寺や行天宮などの有名な寺院は、この時期大変な賑わいを見せます。

各国の旧正月比較表

項目中国韓国ベトナムシンガポール
呼び名春節ソルラルテトChinese New Year
祝日日数7~9日3日7~9日2日
代表的な料理水餃子・魚料理トックッバインチュンローヘイ
お年玉の名前紅包セベトンリーシーアンパオ
飾りの特徴赤い対聯・福の字韓服を着用梅や桃の花みかん2個

旧正月に食べる縁起物:国別の伝統料理

中国の春節料理

中国の春節では、一つひとつの料理に縁起の良い意味が込められています。日本のおせち料理と同様の考え方です。

「水餃子」は春節に欠かせない代表的な食べ物です。その形が中国古代の貨幣「元宝(ユエンバオ)」に似ていることから、富と繁栄を象徴します。また、「餃子」の発音が新年と旧年が交わる時刻を意味する「交子」と同じであることも、縁起が良いとされる理由です。

「魚料理」もまた必須の一品です。中国語で「魚(ユー)」は「余(ユー=あり余る)」と同じ発音のため、「年年有余(毎年豊かでありますように)」という願いが込められます。大晦日の食卓には必ず丸ごと一匹の魚が並びます。

「年糕(ニエンガオ)」は餅の一種で、日本の餅に近い食品です。「年糕」の「糕」は「高」と同じ発音であり、「年年高升(毎年向上する)」を意味します。甘い味付けのものやおかず系のものなど、地域によってバリエーションが豊富です。

「春巻き」は金の延べ棒に形が似ていることから、財運の象徴とされます。広東語圏を中心に好まれる料理です。

「長寿麺」は長い麺を切らずに食べることで、長寿を祈願する料理です。途中で切れると縁起が悪いとされるため、一気にすすって食べる習慣があります。

「湯圓(タンユエン)」は白玉団子のようなスイーツです。丸い形が「団らん」「円満」を象徴します。小豆あんやごまあんが入ったものが定番です。元宵節(旧暦1月15日)に食べる習慣が特に強いですが、春節期間を通じて親しまれます。

料理名読み方縁起の意味
水餃子シュイジャオズ富・繁栄
魚料理ユー豊かさ・余裕
年糕ニエンガオ向上・出世
春巻きチュンジュエン財運
長寿麺チャンショウミエン長寿
湯圓タンユエン家族円満
みかん・柑橘類ジュー吉祥・富

韓国のソルラル料理

韓国のソルラルで最も重要な料理は「トックッ(떡국)」です。薄くスライスした楕円形の餅を牛骨スープで煮込んだ料理で、日本の雑煮に似ています。白い餅は「清らかな新年の始まり」を象徴します。

「チャプチェ(잡채)」は春雨と野菜・肉を炒めた料理で、祝いの席には欠かせません。「チョン(전)」は韓国風のお好み焼きやチヂミのことで、さまざまな食材を卵と小麦粉で焼いた料理です。

韓国の祭祀料理「チェサ膳」には、ナムル・焼き魚・果物・餅など多彩な品が並びます。先祖への供物としての意味合いが強く、配置にも細かいルールがあります。

ベトナムのテト料理

ベトナムのテトを代表する料理は「バインチュン(Bánh Chưng)」です。もち米で豚肉と緑豆を包み、笹の葉で四角く成形して長時間茹でます。北部では四角い「バインチュン」、南部では円筒形の「バインテト(Bánh Tét)」が主流です。

「ムットテト(Mứt Tết)」はテトに欠かせないお菓子の総称です。ドライフルーツや砂糖漬けの果物が美しく箱に詰められます。ココナッツ・蓮の実・生姜・柑橘類などが使われ、来客へのもてなしとして茶と一緒に供されます。

「ハム(giò chả)」と呼ばれるベトナム風ソーセージも定番です。バナナの葉で包んで蒸した豚肉の加工品で、バインチュンやご飯と一緒に食べます。

旧正月のタブー:やってはいけないこととマナー

掃除をしてはいけない

旧正月の元日に掃除やゴミ出しをすることは、多くのアジア諸国で禁忌とされています。掃除をすると「せっかく訪れた福を掃き出してしまう」と考えられているためです。

大掃除は旧正月前に済ませておくのが習わしです。中国では旧暦12月24日頃から大掃除を始め、新年を清潔な状態で迎えます。日本の年末大掃除と同じ発想です。

刃物を使ってはいけない

旧正月の当日にハサミや包丁などの刃物を使うことも避けるべきとされます。刃物は「縁を切る」「運を断つ」ことにつながるという考え方です。

そのため、春節の料理は前日までに仕込みを終えておくのが一般的です。同様に、散髪も旧正月前に済ませておくことが推奨されています。

泣いたりケンカをしてはいけない

新年早々に泣いたりケンカをしたりすると、その一年中不運が続くとされます。子どもを叱ることも避ける家庭が多いです。

「死」「病気」「喪失」といったネガティブな言葉を使うことも控えます。新年は吉祥の言葉で満たすべきだと考えられているのです。

割り物に注意する

ガラスや陶磁器を割ることは「破財(財を失うこと)」の象徴とされます。もし不注意で割ってしまった場合は、すぐに「歳歳平安(スイスイピンアン=年々平安でありますように)」と唱えるのが慣習です。「砕(スイ=割れる)」と「歳(スイ=年)」の発音が同じことを利用した言葉遊びです。

嫁いだ娘は元日に実家に帰らない

中国やベトナムの一部地域では、結婚した女性が旧暦1月1日に実家へ帰ることを避けます。実家に災いをもたらすとされているためです。嫁いだ娘が実家を訪問するのは、一般に旧暦1月2日以降が適切とされています。

旧正月のタブー一覧

タブーの内容理由・背景
掃除・ゴミ出し福を掃き出してしまう
刃物の使用縁や運を断つ
泣く・ケンカする一年中不運が続く
ガラスや陶器を割る財を失う象徴
嫁いだ娘の帰省(元日)実家に災いをもたらす
髪を洗う(元日)幸運を洗い流す
本を買う「書」と「輸(負ける)」が同音
靴を買う「鞋」と「邪」が同音
お粥を食べる貧しさの象徴
医者にかかる一年中病気がちになる

これらのタブーは地域や家庭によって異なります。若い世代では気にしない人も増えていますが、伝統を重んじる家庭では今も厳格に守られています。

なぜ日本は旧正月を祝わないのか:歴史的背景を解説

明治の改暦がもたらした転換

日本がアジア圏にありながら旧正月を祝わない背景には、明治時代の大きな政策転換があります。

日本でも明治5年(1872年)まで旧暦が使われていました。旧暦に基づくお正月を祝う風習は、日本人の暮らしに深く根づいていたのです。しかし、明治5年11月9日に政府が新暦への切り替えを布告します。

わずか1か月もない準備期間で、旧暦の明治5年12月3日を新暦の明治6年1月1日に変更しました。あまりに急な変更であったため、国民の間には大きな混乱が生じたとされています。

近代化政策の一環

明治政府が改暦を急いだ理由のひとつに、財政上の事情がありました。旧暦のまま翌年を迎えると閏月が入るため、官吏の給与を13か月分支払う必要があったのです。新暦に切り替えることで、12月をほぼ丸々省略し、財政負担を軽減できました。

もうひとつの理由は、西洋列強と同じ暦を使うことで近代国家としての体裁を整えることでした。明治政府にとって「近代化=西洋化」は最重要政策であり、暦の統一はその象徴的な施策だったのです。

旧暦文化の衰退と残存

改暦後も、しばらくは旧暦に基づく行事を続ける人々がいました。しかし、政府の強力な推進策により新暦が社会に浸透し、旧正月の文化は次第に衰退していきます。

他のアジア諸国が旧暦の正月を維持したのに対し、日本は新暦の正月に完全移行しました。東アジア・東南アジアの中で、これほど徹底的に旧暦の正月を放棄した国は日本だけといっても過言ではありません。

ただし、日本全国で旧正月文化が完全に消滅したわけではありません。沖縄県の一部地域や、全国各地の中華街では現在も旧正月の風習が残されています。

日本国内で旧正月を体験できるスポットとイベント

沖縄の旧正月(ソーガチ)

沖縄では旧正月を「ソーガチ」と呼び、現在も一部地域で大切にされています。特に漁業が盛んな糸満市では、旧正月の風習が色濃く残る地域として知られます。

糸満市では旧正月に「スーマチ」と呼ばれるお供え物を仏壇や神棚に飾ります。炭の昆布巻き・みかん・若松などが使われ、それぞれに縁起の良い意味があります。炭は「たくさん」、昆布は「喜ぶ」、みかんは「代々繁栄」を表す語呂合わせの縁起物です。

沖縄の旧暦文化は中国から伝わった影響が色濃く、旧正月だけでなくお盆やシミ(墓参り)なども旧暦に基づいて行われます。日本の他の地域とは異なる独特の生活リズムが今も息づいているのです。

横浜中華街の春節

横浜中華街は日本最大の中華街であり、毎年盛大な春節イベントを開催しています。2026年は「第40回 横濵中華街 2026春節」として記念すべき40回目の開催を迎えました。

2026年の馬年にちなみ「馬年吉祥」をテーマに、さまざまなイベントが行われています。

  • 「採青(サイチン)」と呼ばれる獅子舞が各店舗を巡回し、商売繁盛と五穀豊穣を祈願します。
  • 色鮮やかなイルミネーション「春節燈花」が街を華やかに彩ります。
  • 2月28日・3月1日には中華街の街なかで獅子舞と変面のパフォーマンスが披露されます。

春節期間中は通常営業している店舗がほとんどで、観光客も気軽に訪れることができます。中華料理はもちろん、春節限定メニューを提供する店もあり、食べ歩きを楽しめます。

長崎ランタンフェスティバル

長崎ランタンフェスティバルは、日本国内で最も規模の大きな春節イベントです。もともと長崎新地中華街で行われていた春節祭が1994年に拡大され、現在は長崎市の冬の風物詩として定着しています。

2026年は2月6日(金)から2月23日(月・祝)までの18日間にわたって開催されます。約1万5000個ものランタン(中国提灯)が市内各所を幻想的に照らします。

メイン会場の湊公園では龍踊り(じゃおどり)や中国雑技のステージイベントが行われます。長崎の街全体が赤や黄色のランタンに包まれ、まるでアジアの異国に迷い込んだような雰囲気を味わえます。入場無料で楽しめる点も魅力です。

神戸南京町の春節祭

神戸市中央区にある南京町は、横浜・長崎と並ぶ日本三大中華街のひとつです。2026年は「第38回南京町春節祭」が2月17日および2月21日から23日の計4日間にわたって開催されました。

新調された龍が元町商店街から南京町を練り歩く龍舞パレードは、春節祭のハイライトです。中国雑技や伝統音楽の演奏も行われ、多くの来場者でにぎわいます。

日本国内の主な旧正月イベント比較

イベント名開催地2026年の開催期間特徴
横浜中華街 春節横浜市2月上旬~3月上旬獅子舞・イルミネーション
長崎ランタンフェスティバル長崎市2月6日~23日約1万5000個のランタン
南京町春節祭神戸市2月17日・21~23日龍舞パレード
沖縄旧正月行事糸満市ほか2月17日前後伝統的な供物・祭祀

旧正月の挨拶と赤い封筒の文化

各国の新年の挨拶

旧正月には、各国で特別な新年の挨拶が交わされます。訪問先やビジネスシーンで使えると好印象を与えられるでしょう。

中国語の定番挨拶は「新年快楽(シンニエン クァイラー)」です。「新年おめでとう」という意味で、最も広く使われます。もうひとつの定番は「恭喜発財(ゴンシー ファーツァイ)」で、「お金持ちになりますように」という意味です。ビジネスシーンでも頻繁に使用されます。

韓国語では「새해 복 많이 받으세요(セヘ ボンマニ パドゥセヨ)」と挨拶します。「新年にたくさんの福をお受けください」という意味です。

ベトナム語では「Chúc mừng năm mới(チュック ムン ナム モイ)」が一般的です。「新年おめでとう」を意味します。

言語挨拶読み方意味
中国語新年快楽シンニエン クァイラー新年おめでとう
中国語恭喜発財ゴンシー ファーツァイお金持ちになりますように
韓国語새해 복 많이 받으세요セヘ ボンマニ パドゥセヨ福をたくさん受けてください
ベトナム語Chúc mừng năm mớiチュック ムン ナム モイ新年おめでとう
広東語恭喜發財コンヘイ ファッチョイお金持ちになりますように

赤い封筒(お年玉)の文化

旧正月に赤い封筒でお年玉を渡す文化は、アジア各国に共通しています。ただし、細かいルールは国によって異なります。

中国では「紅包(ホンバオ)」と呼ばれ、通常は未婚者に対して既婚者や年長者が渡します。金額は偶数が好まれますが、「4」は「死」を連想させるため避けます。「8」は「発財(お金持ちになる)」の「発」と発音が似ているため、8が含まれる金額が好まれます。

近年はWeChatPayやAlipayなどのスマートフォン決済を利用した「デジタル紅包」も急速に普及しています。2020年代以降は特に若い世代を中心にデジタル化が進み、オンラインで赤い封筒を送り合う文化が定着しました。

韓国の「セベトン」は、セベ(新年の挨拶)を受けた年長者が目下の人に渡すものです。白い封筒が使われることもあり、必ずしも赤い封筒とは限りません。

ベトナムの「リーシー」は赤い封筒で渡されます。金額は比較的少額で、気持ちを重視する傾向があります。新品の紙幣を使うのがマナーとされています。

旧正月とインバウンド:日本経済への影響

春節の訪日需要

旧正月(春節)の時期は、アジア各国から日本への観光客が急増する時期として注目されてきました。春節の連休期間は中華圏を中心に大型連休となるため、海外旅行の需要が高まります。

2025年の年間訪日外国人数は約4270万人を記録し、過去最高を更新しました。訪日客全体の消費額は約9.5兆円に達したと報じられています。従来、春節の時期は北海道・京都・東京などが人気の旅行先として大きな経済効果を生んでいました。

2026年の春節インバウンドの変化

2026年の春節は、日中関係の変化が訪日需要に影響を与えたことが報じられています。一部報道では中国からの訪日旅行者が前年比で大幅に減少したとされています。

一方で、中国以外のアジア諸国(韓国・台湾・東南アジア各国)やアメリカ・オーストラリアなどからの訪日客は増加傾向にあるとの報道もあります。インバウンド市場全体としては特定の国への依存を見直し、多角化を図る動きが加速しています。

ビジネスへの影響と対策

旧正月の時期は、アジア圏の取引先が長期休暇に入るため、ビジネス面でも影響があります。以下のような対策が推奨されます。

  • 中国・韓国・ベトナムなどとの取引がある場合、春節前に納期や在庫の確認を済ませておくことが重要です。
  • 春節期間中の問い合わせ対応が遅れることを想定し、事前にスケジュールを調整しておきましょう。
  • インバウンド関連事業者は、春節の連休時期に合わせた集客施策の準備が求められます。多言語対応や春節向けの特別プロモーションが効果的です。
  • 中華圏のSNSやECプラットフォームでは春節に合わせたセール企画が盛んに行われます。越境EC事業者にとっても重要な商機です。

旧正月の飾り付けと色の意味

赤が象徴するもの

旧正月の飾り付けで最も目立つ色は「赤」です。赤は中国文化において幸運・喜び・繁栄を象徴する色であり、魔除けの力があるとされています。

この伝統は「年獣(ニエンショウ)」伝説に由来するともいわれます。太古の昔、毎年大晦日に現れて人々を襲う怪物「年獣」は、赤い色と大きな音を恐れていたとされます。人々が赤い飾りを掲げ、爆竹を鳴らして年獣を追い払ったことが、春節の伝統となったのです。

対聯(ついれん)と福の字

「対聯(たいれん)」は、赤い紙に金や黒の文字で吉祥句を書いた縦長の飾りです。玄関の両側に一対で貼り付けます。「一帆風順年年好、万事如意步步高(順風満帆で年ごとに良くなり、万事が思い通りに一歩ずつ高まる)」といった句が書かれます。

「福」の字を逆さまに貼る習慣も広く見られます。中国語で「逆さま」を意味する「倒(ダオ)」と「到着する」を意味する「到(ダオ)」が同じ発音であることから、「福が到来した」という意味になるのです。

ランタンと花

赤いランタン(提灯)は春節の象徴的な飾りです。家の軒先や商店街に吊り下げられ、華やかな雰囲気を演出します。

花を飾る習慣はベトナムや香港で特に盛んです。水仙・菊・蘭・桃の花などが好まれ、新年の繁栄と春の到来を象徴します。金柑の鉢植えも縁起物として人気があり、黄金色の実が富を表すとされています。

旧正月に関するよくある質問

Q1: 旧正月は毎年日にちが違うのはなぜ?

旧暦が太陰太陽暦に基づいているためです。月の満ち欠けの周期(約29.5日)をもとに月を定めるため、新暦(太陽暦)との間にズレが生じます。このズレにより、旧正月の日付は毎年1月21日頃から2月20日頃の間で変動します。

Q2: 旧正月と元旦は何が違う?

元旦(1月1日)はグレゴリオ暦(新暦)に基づく新年の始まりです。世界共通の暦です。一方、旧正月は太陰太陽暦(旧暦)の1月1日であり、主にアジア圏で重視されます。多くのアジア諸国ではどちらも祝いますが、旧正月のほうが文化的に重要視される傾向があります。

Q3: 日本にも旧正月の風習はある?

全国的には廃れましたが、沖縄県の一部地域では現在も旧正月を祝う風習が残っています。特に漁業が盛んな糸満市が有名です。また、横浜・長崎・神戸の中華街では毎年春節イベントが開催されており、日本にいながら旧正月の雰囲気を楽しめます。

Q4: 旧正月の期間中に海外旅行するときの注意点は?

中国・韓国・ベトナム・台湾などへの旅行を計画している場合、以下の点に注意が必要です。

  • 交通機関が非常に混雑します。航空券やホテルの早期予約が不可欠です。
  • 多くの商店やレストランが休業します。特に個人経営の店は長期間閉まることがあります。
  • 観光地は普段以上に混雑します。人気スポットは入場制限がかかることもあります。
  • 銀行や官公庁も休業するため、両替や手続きは事前に済ませましょう。

一方で、現地ならではの華やかな祝祭ムードを体験できるのは、この時期ならではの魅力です。

Q5: 旧正月にプレゼントを贈るときのマナーは?

旧正月の贈り物には一定のマナーがあります。

  • 果物(みかん・オレンジなど柑橘類)は定番の贈り物です。「吉(ジー)」に通じる発音から縁起が良いとされます。
  • お菓子の詰め合わせや高級茶葉も喜ばれます。
  • 時計は「送終(最期を見届ける)」と同じ発音になるため避けるべきです。
  • 白い花や菊の花は葬儀を連想させるため不適切です。
  • 梨は「離(離れる)」と同じ発音のため、贈り物としては避けます。
  • 包装は赤や金色が好まれます。白と黒の包装は弔事を連想させるため避けましょう。

旧正月を知ることで広がる国際理解と文化交流

旧正月は、世界の約20億人が祝うアジア最大の伝統行事です。中国の春節、韓国のソルラル、ベトナムのテトと、呼び名や風習は異なっても、「家族が集い、一年の無事と繁栄を祈る」という根本的な想いは共通しています。

日本ではかつて旧暦のお正月を祝っていましたが、明治の改暦以降その風習は薄れました。しかし、沖縄の一部地域や日本三大中華街では今も旧正月の伝統が息づいています。2026年は横浜中華街の春節が40周年を迎え、長崎ランタンフェスティバルは18日間にわたって開催されるなど、国内でも旧正月を楽しむ機会は豊富に用意されています。

旧正月の歴史は紀元前の中国にまで遡り、2000年以上にわたって人々の暮らしに寄り添ってきました。縁起物の食べ物に込められた願い、赤い飾りの意味、新年のタブーなど、その文化的な奥行きは深いものがあります。

グローバル化が進む現代において、旧正月の知識はビジネスシーンでもプライベートでも役立ちます。取引先の休業スケジュールを把握すること、海外からの旅行者を温かく迎えること、異文化の友人に適切な挨拶を送ること。そのすべてが、旧正月を理解することから始まります。

この記事が、旧正月への理解を深めるきっかけとなれば幸いです。2026年は「丙午(ひのえうま)」の年であり、60年に一度の特別な巡り合わせです。行動力と情熱の象徴とされるこの年を、旧正月の知識とともに充実した一年にしていきましょう。

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