牛乳を飲むことが、心血管疾患や2型糖尿病に与える影響が遺伝学的に分かっています。
牛乳を大量に摂取してもコレステロール値は上昇しません。
実際、毎日牛乳を飲む人は、牛乳を飲まない人に比べて、悪玉(LDL)コレステロールのレベルが低いです。
さらに、牛乳の摂取量が多いと、冠状動脈性心臓病のリスクが14%、2型糖尿病のリスクが11%減少しました。
高脂肪乳製品の摂取量が増えると、飽和脂肪が含まれるため、心血管の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
飽和脂肪は、高血中コレステロールや心血管疾患のリスクと関連しています。
牛乳や低脂肪乳製品の摂取が、コレステロール値の低下や心血管疾患のリスク低減につながることがわかっています。
牛乳の摂取が心血管・代謝リスク(心血管疾患や糖尿病を発症する危険因子)に及ぼす影響を、ラクターゼ遺伝子の変異を調べた結果です。
ラクターゼは、牛乳や乳製品に含まれる糖質である乳糖を分解する消化酵素です。
牛乳を多く飲む人は、乳糖を消化する遺伝子の変異を持っています。
牛乳の摂取量が多いと関連する遺伝子変異を持つ方では、BMIや体脂肪が高いことがわかりましたが、重要なのは善玉コレステロールと悪玉コレステロールの値が低いことです。
また、この遺伝子変異を持つ場合、冠動脈心疾患のリスクが有意に低いこともわかりました。
これらのことから、牛乳の摂取量を減らすことは、心血管疾患の予防には必要ないかもしれません。
牛乳を多く摂取するとコレステロール値が下がる理由です。
脂肪代謝に影響を与える牛乳のカルシウムと乳糖
牛乳などからカルシウムを摂取すると、胆汁酸の排出が促進されるため、肝臓のコレステロールが胆汁酸を生成するようになり、その結果、コレステロール値が低下します。
乳糖などの難消化性炭水化物を腸内細菌が発酵させることで、コレステロールの生成に影響を与え、コレステロール値が低下します。
牛乳を飲む人の間でBMIと体脂肪がわずかに上昇したとしても、牛乳の摂取が心血管疾患のリスクに大きな影響を与えないです。