この体型が持つ認知機能の低下について、さらなる証拠が分かりました。
太っている人は、経験した時間、場所、特定の感情についての記憶力が悪いことが分かりました。
また、BMIが高いほどエピソード記憶力が低下することもわかりました。
エピソード記憶とは、ある特定の瞬間に起こった記憶の集合体です。
これは、世界に関する一般的な知識である意味記憶としばしば対比されます。
太りすぎによる認知機能の大きな低下をさらに裏付けるものです。
社会における肥満の増加を考えると、何が自分たちの消費を促し、どのように自分たちが本能的に食行動を制御しているのかを理解することは、ますます重要になっています。
空腹感や満腹感は、体内や脳内のホルモンのバランスによってある程度左右されることがわかっていますが、心理的な要因も重要な役割を果たしています。
例えば、テレビや仕事に気を取られているときにはより多くの食事をする傾向がありますし、悲しいことがあったときには『慰めの食事』をすることもあります。
最近では、記憶、特に過去の出来事を頭の中で再現するエピソード記憶も重要であることがわかってきました。
例えば、ランチなど、最近の食事をどれだけ鮮明に覚えているかによって、空腹感や、後でおいしいチョコレートバーに手が伸びやすいかどうかが変わってくるのです。
BMIが高い人ほど、記憶タスクの成績が悪いことを発見されました。
太っている人が必ずしも物忘れが多いとは言いませんが、もしこの結果が日常生活での記憶に一般化できるのであれば、太っている人は過去の出来事、例えば過去の食事などの詳細を鮮明に思い出すことができないのかもしれません。
食事における記憶の役割に関する調査によると、このような状況では、記憶を利用して消費を調整する能力が損なわれる可能性があります。
つまり、太っていると、何をどれだけ食べたかを把握することが難しくなり、食べ過ぎてしまう可能性があるということです。
特に、エピソード記憶が摂食行動や食欲調節に大きな影響を与えている可能性を示す証拠が増えていることを考えると、過体重の人にエピソード記憶の欠損がある可能性は懸念されます。
このような心理的要因を正面から認識して対処することで、肥満についての理解が深まるだけでなく、健康に真の変化をもたらす介入策を生み出すことができるかもしれません。