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【ストレスの伝染力】共感を超えた生物学的なメカニズム

更新日:

「見ているだけでストレスを感じる」という現象は、決して気のせいや思い込みではありません。
近年の研究によって、他者のストレスが伝染するメカニズムが明らかになってきています。

共感を超えた生物学的な反応

2023年、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて、他者のストレスがどのように脳に影響を与えるかを調査しました。

実験では、被験者2人にビデオ通話で会話してもらい、一方が数学の問題を解くというストレス状況を作り出しました。
すると、問題を解いている側の脳内では、扁桃体や海馬といった、ストレスに関与する領域が活性化されました。
さらに驚くべきことに、問題を解いていない側の脳でも、同等の領域が活性化されたのです。

この研究は、共感という心理的なメカニズムだけでなく、生物学的なメカニズムによって、他者のストレスが伝染することを示しています。

共感の強さは関係ない?

従来の研究では、共感力の高い人ほど、他者のストレスを感じやすいと考えられていました。
しかし、今回の研究では、共感力の高い低いに関係なく、他者のストレスが脳に影響を与えていることが示されました。

これは、共感とは別のメカニズムによって、ストレスが伝染している可能性を示唆しています。

ミラーニューロン:共感と行動の模倣

そのメカニズムの1つとして考えられるのが、ミラーニューロンの存在です。
ミラーニューロンは、他者が行動しているのを見るだけで、自分がその行動をしているかのように脳内で活性化する神経細胞です。

ミラーニューロンは、共感だけでなく、行動の模倣にも関与していると考えられています。
つまり、他者がストレスを感じているのを見ることによって、自分がストレスを感じているかのように脳が反応してしまう可能性があるのです。

ストレスホルモン:コルチゾールの連鎖

さらに、今回の研究では、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンの分泌量も測定されました。
その結果、観察者も問題を解いている人と同様に、コルチゾールの分泌量が増加していることが確認されました。

これは、他者のストレスが、視覚的な情報だけでなく、ホルモンレベルでも伝染していることを示しています。

ストレスの伝染は避けられないのか?

このように、他者のストレスは、共感やミラーニューロン、ストレスホルモンといった生物学的なメカニズムによって伝染することが明らかになっています。

では、ストレスの伝染を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?

1.ストレスの源から距離を置く

最も有効な方法は、ストレスの源から距離を置くことです。しかし、それが常にできるわけではありません。

2.ストレスへの対処法を身につける

運動や瞑想など、ストレスへの対処法を身につけることで、伝染したストレスの影響を軽減することができます。

3.ストレスの連鎖を断ち切る

自分自身がストレスを感じているときは、周囲の人にも影響を与えてしまう可能性があります。
そのため、自分自身のストレスをしっかりと管理することが重要です。

4.共感を力に変える

共感は、ストレスを伝染させるだけでなく、互いを支え合う力にもなります。
相手の気持ちを理解し、声をかけたり、サポートすることで、ストレスを乗り越えることができます。

ストレスは現代社会の課題

ストレスは、個人にとっても社会にとっても大きな課題です。

今回の研究は、ストレスの伝染メカニズムを理解し、効果的な対策を講じるための第一歩となるでしょう。

ガガログ編集部

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