確定申告の時期が近づくと、多くの方が不安を感じます。
「税金の仕組みが複雑でよくわからない」「確定申告って何から始めればいいの」といった悩みをお持ちではありませんか。
実は、税金の基本を理解すれば、確定申告は決して難しくありません。
本記事では、税金の仕組みから確定申告の具体的な手順まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
この記事を読めば、税金への不安が解消され、自信を持って確定申告に臨めるようになります。
税金の基本的な仕組みとは
日本の税金は大きく3種類に分けられる
日本の税金は、国に納める国税、都道府県に納める地方税、そして市区町村に納める地方税の3つに分類されます。
私たちが日常的に関わる主な税金には以下のものがあります。
所得税は、1年間の所得に対して課される国税です。
住民税は、前年の所得に基づいて計算される地方税です。
消費税は、商品やサービスの購入時に支払う間接税です。
所得税の計算方法を理解する
所得税は、収入から必要経費を差し引いた所得に対して課税されます。
具体的には、以下の流れで計算されます。
まず収入金額から必要経費を差し引き、所得金額を算出します。
次に所得金額から各種所得控除を差し引き、課税所得金額を計算します。
最後に課税所得金額に税率を掛けて、所得税額を算出します。
累進課税制度の仕組み
日本の所得税は累進課税制度を採用しています。
これは所得が多くなるほど、税率が高くなる仕組みです。
2025年現在の所得税率は以下の通りです。
課税所得195万円以下は税率5パーセントです。
課税所得195万円超330万円以下は税率10パーセントです。
課税所得330万円超695万円以下は税率20パーセントです。
課税所得695万円超900万円以下は税率23パーセントです。
課税所得900万円超1800万円以下は税率33パーセントです。
課税所得1800万円超4000万円以下は税率40パーセントです。
課税所得4000万円超は税率45パーセントです。
確定申告が必要な人、不要な人
確定申告が必要な主なケース
確定申告は、すべての人に必要なわけではありません。
給与所得者で年末調整を受けている場合、基本的に確定申告は不要です。
ただし以下のケースに該当する場合は、確定申告が必要になります。
年間の給与収入が2000万円を超える人は必ず申告します。
2か所以上から給与を受け取っている人も申告が必要です。
副業の所得が年間20万円を超える場合は申告義務があります。
個人事業主やフリーランスの方は、原則として確定申告が必要です。
不動産所得がある方も申告対象となります。
確定申告をすると得するケース
確定申告の義務がなくても、申告することで税金が戻ってくる場合があります。
医療費控除を受ける場合は、確定申告が必要です。
1年間の医療費が10万円を超えた場合、超えた分を所得から控除できます。
住宅ローン控除の初年度も確定申告が必須です。
2年目以降は年末調整で対応できますが、1年目は必ず申告します。
ふるさと納税でワンストップ特例を利用しない場合も申告が必要です。
年の途中で退職し、年末調整を受けていない方も、確定申告で税金が戻る可能性があります。
確定申告をしないとどうなるか
確定申告が必要なのに申告しない場合、重いペナルティが課されます。
無申告加算税が15パーセントから20パーセント課されます。
延滞税も年率2.4パーセントから8.7パーセントで加算されます。
悪質と判断された場合は、重加算税として40パーセントが課されることもあります。
期限内に申告することが、最も重要なポイントです。
確定申告の準備に必要な書類
所得を証明する書類
確定申告には、収入を証明する書類が必須です。
給与所得者は、勤務先から発行される源泉徴収票が必要です。
個人事業主やフリーランスは、取引先からの支払調書や請求書控えを用意します。
銀行の入金記録も重要な証拠書類となります。
不動産所得がある方は、賃貸借契約書や家賃の入金記録が必要です。
株式の配当や譲渡所得がある場合は、証券会社の取引報告書を準備します。
控除を受けるための書類
各種控除を受けるには、それぞれ証明書類が必要です。
医療費控除には、医療機関の領収書または医療費通知が必要です。
2017年以降は、医療費控除の明細書を作成すれば領収書の提出は不要になりました。
社会保険料控除には、国民年金や国民健康保険の支払証明書が必要です。
生命保険料控除には、保険会社から送られる控除証明書を使います。
地震保険料控除も同様に、保険会社の証明書が必要です。
寄附金控除を受ける場合は、寄附先からの受領証明書を用意します。
ふるさと納税の場合、各自治体から送られる寄附金受領証明書が必要です。
マイナンバー関連書類
2016年以降、確定申告にはマイナンバーの記載が必須となりました。
マイナンバーカードを持っている方は、カードのコピーで対応できます。
マイナンバーカードがない場合は、以下の書類が必要です。
通知カードまたはマイナンバー記載の住民票で番号を確認します。
加えて運転免許証やパスポートなどの本人確認書類も必要です。
e-Taxで申告する場合、マイナンバーカードがあればスムーズに進みます。
確定申告の具体的な手順
申告期間と提出方法を確認する
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。
2025年の確定申告は、2024年分の所得について申告します。
提出方法は大きく3つあります。
税務署の窓口に直接持参する方法が最も確実です。
郵送で所轄の税務署に送付することもできます。
e-Taxを利用したオンライン申告が最も便利で推奨されています。
申告書の種類を選ぶ
確定申告書には、主に2つの様式があります。
申告書Aは、給与所得や年金所得のみの方が使用する簡易版です。
申告書Bは、事業所得や不動産所得がある方が使用する標準版です。
2024年分の申告から、申告書Aが廃止され、申告書Bに一本化されました。
現在はすべての方が同じ様式を使用できるようになっています。
収入と所得を正確に計算する
確定申告で最も重要なのは、収入と所得の正確な計算です。
収入金額は、1年間に得た総額のことです。
給与所得者の場合、源泉徴収票の支払金額欄に記載されています。
所得金額は、収入から必要経費を差し引いた金額です。
給与所得の場合、給与所得控除額が自動的に差し引かれます。
事業所得の場合、売上から仕入れや経費を差し引いて計算します。
経費として認められるものには、以下のようなものがあります。
仕入れ費用、家賃、光熱費の一部、通信費、交通費、消耗品費などです。
レシートや領収書は必ず保管し、帳簿に記録します。
所得控除を漏れなく適用する
所得控除を適用することで、課税所得を減らし、税金を軽減できます。
主な所得控除には以下のものがあります。
基礎控除は、すべての人に適用され、48万円です。
所得が2400万円を超えると、段階的に控除額が減少します。
配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下の場合に適用されます。
控除額は最大38万円です。
扶養控除は、扶養している親族がいる場合に適用されます。
控除額は扶養親族の年齢により38万円から63万円です。
社会保険料控除は、支払った社会保険料の全額が控除されます。
生命保険料控除は、最大12万円まで控除できます。
地震保険料控除は、最大5万円まで控除されます。
医療費控除は、医療費が10万円を超えた場合に適用できます。
寄附金控除は、ふるさと納税などの寄附金額から2000円を引いた額が控除されます。
税額を計算し、納付または還付を受ける
すべての控除を適用したら、最終的な税額を計算します。
課税所得金額に税率を掛け、税額を算出します。
すでに源泉徴収されている税額があれば、そこから差し引きます。
納付税額がある場合は、指定された期日までに納付します。
納付方法は、現金、クレジットカード、振替納税などがあります。
還付税額がある場合は、指定した口座に振り込まれます。
還付金は通常、申告から1か月から1か月半後に振り込まれます。
e-Taxで申告した場合は、3週間程度で振り込まれることが多いです。
e-Taxでの電子申告のメリットと手順
e-Taxを利用する5つのメリット
e-Taxは、インターネットを利用した電子申告システムです。
24時間いつでも申告できるのが最大のメリットです。
税務署に行く必要がなく、自宅から手続きが完結します。
還付金の振込が早いのも大きな利点です。
通常の申告より2週間程度早く振り込まれます。
添付書類の提出が省略できるのも便利です。
医療費の領収書や生命保険料控除証明書などは、記録を保存すれば提出不要です。
青色申告特別控除が最大65万円受けられます。
紙での申告では55万円ですが、e-Taxなら65万円控除されます。
確定申告書の作成がサポートされるのも初心者には助かります。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に従うだけで作成できます。
e-Tax利用に必要な準備
e-Taxを利用するには、事前準備が必要です。
マイナンバーカードを取得するのが最も簡単な方法です。
マイナンバーカードとICカードリーダーライタがあれば、すぐに始められます。
スマートフォンでマイナンバーカードを読み取ることも可能です。
マイナンバーカードがない場合は、ID・パスワード方式が利用できます。
税務署で本人確認を行い、IDとパスワードを発行してもらいます。
e-Taxの利用者識別番号を取得します。
国税庁のウェブサイトから無料で取得できます。
確定申告書等作成コーナーの使い方
国税庁の確定申告書等作成コーナーは、初心者でも簡単に使えます。
まず国税庁のウェブサイトにアクセスします。
「確定申告書等作成コーナー」をクリックします。
「作成開始」を選択し、提出方法を選びます。
e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカード方式またはID・パスワード方式を選びます。
画面の指示に従って、必要な情報を入力していきます。
所得の入力では、源泉徴収票の内容を転記します。
給与所得、事業所得、雑所得など、該当する所得を選んで入力します。
所得控除の入力では、該当する控除項目を選択します。
医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除など、証明書の内容を入力します。
税額控除の入力では、住宅ローン控除などを入力します。
すべて入力すると、自動的に税額が計算されます。
納付または還付の金額が表示されるので、確認します。
最後に電子署名を行い、送信すれば完了です。
送信後、「送信票等印刷」から受付番号を確認できます。
青色申告と白色申告の違い
青色申告の特徴とメリット
青色申告は、個人事業主やフリーランスが選択できる申告方法です。
最大のメリットは、青色申告特別控除が受けられることです。
複式簿記で記帳し、e-Taxで申告すれば65万円の控除が受けられます。
簡易簿記の場合でも、10万円の控除が適用されます。
青色事業専従者給与を経費にできるのも大きなメリットです。
家族に支払った給与を、全額経費として計上できます。
白色申告では、配偶者86万円、その他の親族50万円が上限です。
純損失の繰越控除が3年間認められます。
赤字が出た年の損失を、翌年以降の黒字と相殺できます。
少額減価償却資産の特例も利用できます。
30万円未満の資産を、一括で経費にできます。
青色申告の申請方法と注意点
青色申告を行うには、事前に申請が必要です。
青色申告承認申請書を税務署に提出します。
新規開業の場合は、開業から2か月以内に提出します。
既に白色申告をしている場合は、青色申告したい年の3月15日までに提出します。
2025年分から青色申告したい場合、2025年3月15日までに申請が必要です。
青色申告には、帳簿の保存義務があります。
帳簿書類は7年間保存しなければなりません。
領収書や請求書なども同様に保存が必要です。
白色申告はどんな人に向いているか
白色申告は、青色申告の承認を受けていない人の申告方法です。
簡易な記帳で済むのがメリットです。
収入と支出を記録する程度の帳簿で申告できます。
事業規模が小さく、所得が少ない方に向いています。
ただし2014年以降、白色申告でも記帳義務と帳簿保存義務が課されています。
青色申告との差が小さくなっているため、多くの専門家は青色申告を推奨しています。
経費計上の基本ルールと注意点
経費として認められる条件
経費とは、収入を得るために必要な支出のことです。
経費として認められるには、事業との関連性が明確である必要があります。
領収書やレシートなどの証拠書類が必須です。
支払いの事実を証明できる書類がなければ、経費として認められません。
個人的な支出との区別が重要です。
プライベートと事業の両方で使うものは、事業割合を合理的に計算する必要があります。
主な経費項目と計上のポイント
事業に関連する支出は、幅広く経費にできます。
仕入れ費用は、販売する商品の購入費用です。
在庫として残っているものは、売れた時点で経費になります。
地代家賃は、事務所や店舗の家賃です。
自宅兼事務所の場合、事業使用分のみ経費にできます。
床面積や使用時間で按分するのが一般的です。
水道光熱費も事業使用分を経費にできます。
通信費には、電話代、インターネット料金、郵便代などが含まれます。
携帯電話を仕事とプライベートで使う場合、通話記録などから事業割合を算出します。
旅費交通費は、業務上必要な移動にかかった費用です。
電車賃、バス代、タクシー代、駐車場代、宿泊費などが含まれます。
接待交際費は、取引先との飲食費や贈答品代です。
誰と、どこで、何の目的で支出したかを記録します。
消耗品費は、10万円未満の事務用品や備品です。
減価償却費は、10万円以上の資産を使用期間に応じて経費化したものです。
パソコンや車両、機械設備などが該当します。
経費計上で注意すべきポイント
経費計上には、いくつかの注意点があります。
架空経費の計上は絶対に避けるべきです。
実際にない支出を経費にすることは、重大な不正行為です。
個人的支出を経費にしないことも重要です。
生活費や趣味の支出は、どんな理由があっても経費になりません。
グレーゾーンの支出は慎重に判断する必要があります。
事業との関連性が明確に説明できない支出は、経費にしない方が安全です。
領収書は必ず保管することが基本です。
レシートでも問題ありませんが、感熱紙の場合は劣化に注意します。
コピーを取るか、スキャンしてデータで保存するのがおすすめです。
確定申告で利用できる主な控除制度
医療費控除の詳細
医療費控除は、医療費が多くかかった年に利用できる控除です。
1年間の医療費が10万円を超えた部分が控除対象になります。
総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5パーセントを超えた部分が対象です。
控除の上限は200万円です。
対象となる医療費には、以下のものが含まれます。
診療費、治療費、入院費は基本的にすべて対象です。
処方薬や市販薬の購入費も対象になります。
通院のための交通費も医療費に含まれます。
電車やバスの運賃だけでなく、状況によってはタクシー代も認められます。
歯科治療費や視力矯正のための眼鏡代の一部も対象です。
対象外となるものもあります。
美容目的の整形手術や、健康診断の費用は原則として対象外です。
セルフメディケーション税制という選択肢もあります。
これは通常の医療費控除との選択適用で、スイッチOTC医薬品の購入費が対象です。
年間1万2000円を超えた分、最大8万8000円まで控除できます。
住宅ローン控除の仕組み
住宅ローン控除は、正式には住宅借入金等特別控除といいます。
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、一定期間税金が軽減されます。
控除期間は最長13年間です。
年末の住宅ローン残高の0.7パーセントが、所得税から控除されます。
控除しきれない分は、住民税からも一部控除されます。
控除を受けるための条件があります。
床面積が50平方メートル以上である必要があります。
所得が2000万円以下であることも条件です。
住宅ローンの返済期間が10年以上でなければなりません。
入居した年とその前後2年間に、居住用財産の譲渡特例を受けていないことも条件です。
初年度は必ず確定申告が必要です。
2年目以降は、給与所得者であれば年末調整で対応できます。
ふるさと納税の寄附金控除
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附することで、税金の控除が受けられる制度です。
寄附金額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から控除されます。
控除の上限額は、所得や家族構成によって異なります。
年収400万円の独身者の場合、上限はおよそ4万3000円程度です。
ふるさと納税には2つの申告方法があります。
ワンストップ特例制度を利用すると、確定申告が不要です。
寄附先が5自治体以内で、もともと確定申告の必要がない給与所得者が対象です。
確定申告で申告する場合、寄附金控除として申告します。
寄附先から送られてくる寄附金受領証明書が必要です。
6自治体以上に寄附した場合や、医療費控除などで確定申告する場合は、この方法を使います。
その他の重要な控除制度
その他にも、知っておくべき控除制度があります。
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済やiDeCoの掛金が対象です。
支払った掛金の全額が所得控除されます。
雑損控除は、災害や盗難で損害を受けた場合に適用されます。
損害額が一定額を超えると、控除が受けられます。
障害者控除は、本人または扶養親族が障害者の場合に適用されます。
控除額は27万円、特別障害者の場合は40万円です。
寡婦控除やひとり親控除もあります。
離婚や死別でひとり親になった方が対象で、35万円が控除されます。
確定申告後の流れと訂正方法
申告後の税務署からの連絡
確定申告を提出した後、税務署から連絡が来る場合があります。
内容の確認や追加資料の提出を求められることがあります。
記入漏れや不明点があった場合に連絡が来ます。
指定された書類を速やかに提出すれば、特に問題ありません。
税務調査の通知が来る場合もあります。
これは申告内容を詳しく確認するための手続きです。
ただし個人事業主の場合、よほどの不審点がなければ調査は少ないです。
帳簿や領収書をきちんと保管していれば、心配する必要はありません。
申告内容に誤りがあった場合の訂正方法
申告後に誤りに気づいた場合、訂正が可能です。
税額が多すぎた場合は、更正の請求を行います。
申告期限から5年以内であれば、訂正できます。
更正の請求書を税務署に提出し、認められれば税金が還付されます。
税額が少なすぎた場合は、修正申告を行います。
できるだけ早く修正申告を提出することが重要です。
税務署から指摘される前に自主的に修正すれば、加算税が軽減されます。
期限内であれば、訂正申告として再提出することもできます。
3月15日までに再度申告書を提出すれば、後から提出した内容が有効になります。
納税や還付のスケジュール
確定申告後の納税または還付には、それぞれスケジュールがあります。
納税の場合、原則として3月15日までに納付します。
振替納税を選択した場合、4月下旬に自動引き落としされます。
分割払いや延納を希望する場合は、申告書にその旨を記載します。
還付の場合、申告から1か月から1か月半後に振り込まれます。
e-Taxで申告した場合は、3週間程度で振り込まれることが多いです。
還付金は、申告書に記載した口座に振り込まれます。
振込予定日は、e-Taxのメッセージボックスで確認できます。
確定申告をスムーズに進めるコツ
日頃からの記録と整理が重要
確定申告をスムーズに進めるには、日頃の準備が欠かせません。
レシートや領収書は月ごとに整理する習慣をつけましょう。
封筒やファイルに月別に分けて保管すると、後で探しやすくなります。
帳簿をこまめにつけることも大切です。
月に1回は記帳する時間を作り、溜め込まないようにします。
クラウド会計ソフトを活用するのもおすすめです。
銀行口座やクレジットカードと連携させれば、自動で記帳できます。
freee、マネーフォワード、弥生会計などが代表的なサービスです。
早めの準備で余裕を持つ
確定申告は、期限ギリギリではなく早めに準備しましょう。
1月中に必要書類を集め始めるのが理想的です。
源泉徴収票や控除証明書は、年末から1月にかけて届きます。
届いたらすぐに1か所にまとめて保管します。
2月上旬には申告書の作成に取りかかると余裕があります。
不明点があっても、調べたり税務署に問い合わせたりする時間が取れます。
税理士に依頼する場合は、さらに早めに相談することが重要です。
確定申告期間の直前は、税理士も繁忙期で受付が難しくなります。
12月から1月には相談を始めておくと安心です。
専門家のサポートを活用する
確定申告に不安がある場合、専門家のサポートを受けるのも選択肢です。
税理士に依頼するのが最も確実な方法です。
費用はかかりますが、正確な申告ができ、節税のアドバイスも受けられます。
個人事業主の場合、年間10万円から20万円程度が相場です。
税務署の相談窓口を利用するのは無料です。
確定申告期間中は、税務署に相談コーナーが設置されます。
ただし混雑するため、予約制や整理券制になっている場合があります。
税理士会の無料相談会も各地で開催されます。
期間限定ですが、専門家に無料で相談できる貴重な機会です。
青色申告会に入会するのも一つの方法です。
年会費は1万円から2万円程度で、記帳指導や相談サービスが受けられます。
デジタルツールで効率化する
現代の確定申告は、デジタルツールを活用すると大幅に効率化できます。
クラウド会計ソフトは、初心者でも使いやすい設計になっています。
スマホでレシートを撮影するだけで、自動で仕訳してくれる機能もあります。
確定申告アプリも充実しています。
スマホだけで確定申告書を作成し、e-Taxで提出できるアプリもあります。
電子帳簿保存法に対応したシステムを使えば、紙の保管が不要になります。
2024年1月から、電子取引のデータは電子保存が義務化されました。
適切なシステムを導入することで、書類管理の負担が大幅に減ります。
個人事業主とフリーランスの確定申告
開業届と青色申告承認申請書の提出
個人事業を始める際は、まず開業届を提出します。
正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。
事業開始から1か月以内に、所轄の税務署に提出します。
提出しなくても罰則はありませんが、提出することで様々なメリットがあります。
屋号で銀行口座を開設できたり、青色申告ができるようになったりします。
青色申告承認申請書も同時に提出するのがおすすめです。
開業から2か月以内、または青色申告を始めたい年の3月15日までに提出します。
両方の書類は、国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
帳簿の付け方と記帳の基本
個人事業主は、日々の取引を帳簿に記録する義務があります。
青色申告で65万円控除を受けるには、複式簿記での記帳が必要です。
複式簿記では、すべての取引を借方と貸方に分けて記録します。
初心者には難しく感じられますが、会計ソフトを使えば自動で複式簿記になります。
単式簿記でも10万円の青色申告特別控除は受けられます。
収入と支出を記録する簡易な方法です。
記帳する主な帳簿には以下があります。
現金出納帳は、現金の入出金を記録する帳簿です。
売掛帳は、まだ入金されていない売上を記録します。
買掛帳は、まだ支払っていない仕入れや経費を記録します。
経費帳は、経費の支出を項目ごとに記録します。
固定資産台帳は、10万円以上の資産を記録します。
消費税の納税義務について
個人事業主やフリーランスは、場合によって消費税の納税義務があります。
課税売上高が1000万円を超えると、消費税の納税義務が発生します。
ただし納税義務が発生するのは、2年後からです。
2023年の売上が1000万円を超えた場合、2025年から消費税を納めます。
インボイス制度が2023年10月から開始されました。
この制度により、適格請求書発行事業者になることで、取引先に消費税の仕入税額控除を認めることができます。
売上が1000万円以下でも、取引先の要請でインボイス事業者になる場合があります。
インボイス事業者になると、消費税の申告と納税が必要になります。
自分の事業規模や取引先の状況を考慮して、判断する必要があります。
事業所得と雑所得の違い
個人の収入には、事業所得と雑所得があります。
この違いは、税務上重要です。
事業所得は、継続的・反復的に行う事業から生じる所得です。
青色申告ができ、青色申告特別控除が受けられます。
損失が出た場合、他の所得と損益通算ができます。
雑所得は、事業として認められない程度の収入です。
副業収入や単発の仕事の収入が該当することがあります。
青色申告はできず、損益通算もできません。
事業所得と雑所得の判断基準は明確ではありませんが、以下が考慮されます。
継続性、反復性、営利性、収入の規模、時間や労力の程度などです。
副業であっても、継続的に相応の収入があれば事業所得になる可能性があります。
給与所得者の確定申告のポイント
年末調整との関係
給与所得者は、通常年末調整で税金の精算が完了します。
年末調整では、以下の控除が適用されます。
基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などです。
しかし年末調整では対応できない控除もあります。
医療費控除、寄附金控除、雑損控除、住宅ローン控除の初年度などは確定申告が必要です。
副業収入がある場合の注意点
近年、副業を行う会社員が増えています。
副業収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
この20万円は、収入ではなく所得の金額です。
副業で得た収入から必要経費を引いた金額が20万円以下なら、申告不要です。
ただし住民税は、20万円以下でも申告が必要です。
確定申告をしない場合、市区町村に住民税の申告をする必要があります。
副業の所得が事業所得になるか雑所得になるかは、先ほど説明した基準で判断します。
会社に副業を知られたくない場合は、確定申告書の第二表で注意が必要です。
「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で「自分で納付」を選びます。
これにより副業分の住民税は、会社の給与から天引きされず、自分で納付できます。
年の途中で退職した場合
年の途中で退職し、年末時点で無職または転職した場合、年末調整を受けられません。
この場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性が高いです。
毎月の給与から源泉徴収されている税額は、年収を仮定して計算されています。
年の途中で退職すると、実際の年収はその仮定より少なくなるため、税金を払いすぎている状態です。
確定申告をすれば、払いすぎた税金が還付されます。
退職金を受け取った場合も確認が必要です。
通常、退職金は「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、源泉徴収で完結します。
しかしこの申告書を提出していない場合、確定申告で正しい税額に精算できます。
不動産所得がある場合の確定申告
不動産所得の計算方法
不動産所得は、土地や建物の貸付けから生じる所得です。
家賃収入が主な収入源になります。
不動産所得の計算式は以下の通りです。
不動産所得は、総収入金額から必要経費を差し引いた金額です。
総収入金額には、家賃、礼金、更新料、共益費などが含まれます。
敷金は預かり金なので、収入には含まれません。
ただし退去時に返還しない部分があれば、その時点で収入になります。
必要経費には、以下のようなものがあります。
固定資産税、都市計画税、火災保険料、地震保険料、修繕費、管理費、減価償却費などです。
建物の減価償却費の計算は重要です。
建物の取得価額を耐用年数で割って、毎年経費に計上します。
土地は減価償却の対象外です。
青色申告の要件と事業的規模
不動産所得でも、一定規模以上なら青色申告ができます。
青色申告の承認を受けるには、事前に申請書を提出します。
不動産所得で事業的規模と認められる基準があります。
一般に「5棟10室基準」と呼ばれます。
戸建ては5棟以上、アパートやマンションは10室以上が目安です。
駐車場の場合、50台以上が事業的規模の目安とされます。
事業的規模と認められると、以下のメリットがあります。
青色申告特別控除が最大65万円受けられます。
事業専従者給与を経費にできます。
貸倒損失を全額経費にできます。
事業的規模に満たない場合でも、青色申告は可能です。
ただし青色申告特別控除は10万円が上限です。
不動産所得と給与所得の損益通算
不動産所得で損失が出た場合、給与所得と損益通算できます。
つまり不動産の赤字を、給与所得から差し引いて税金を計算できます。
これにより所得税や住民税が軽減されます。
ただし損益通算できない損失もあります。
土地の取得に係る借入金の利子は、損益通算できません。
建物部分の借入金利子は損益通算できますが、土地部分はできないので注意が必要です。
不動産所得がある方は、収支の記録をしっかりつけることが重要です。
最新の税制改正と今後の動向
2024年以降の主な税制改正
税制は毎年改正されており、最新情報を把握することが大切です。
定額減税が2024年に実施されました。
所得税3万円、住民税1万円が減税されました。
配偶者や扶養親族も1人あたり同額が減税対象になりました。
電子帳簿保存法が2024年1月から本格施行されています。
電子取引のデータは、電子保存が義務化されました。
紙での保存は認められなくなったため、適切なシステム導入が必要です。
インボイス制度の経過措置が継続中です。
2023年10月の制度開始から、段階的に移行期間が設けられています。
住宅ローン控除の制度も変更されています。
2024年以降に入居する場合、控除率や上限額が変更されました。
省エネ性能の高い住宅ほど、控除額が大きくなる仕組みです。
デジタル化の進展と今後の申告方法
税務手続きのデジタル化が急速に進んでいます。
e-Taxの利用率は年々上昇しています。
2023年度の所得税申告では、e-Tax利用率が60パーセントを超えました。
マイナンバーカードの活用も広がっています。
マイナポータルと連携することで、控除証明書のデータを自動取得できます。
医療費通知や生命保険料控除証明書などが、自動で申告書に反映されます。
スマホ申告の対応範囲も拡大しています。
以前は給与所得者のみでしたが、現在は事業所得などにも対応しています。
今後はさらにスマホで完結できる範囲が広がると予想されます。
税制に関する情報収集の方法
税制改正や最新情報を把握するには、信頼できる情報源が重要です。
国税庁のウェブサイトが最も正確な情報源です。
税制改正の内容や、確定申告に関する最新情報が掲載されます。
税務署の窓口で直接相談することもできます。
電話相談センターもあり、税務に関する一般的な質問に答えてくれます。
税理士のブログやメールマガジンも有益な情報源です。
税制改正をわかりやすく解説してくれる専門家が多くいます。
確定申告セミナーに参加するのも効果的です。
税務署、商工会議所、税理士会などが無料セミナーを開催しています。
よくある質問と回答
確定申告に関する疑問を解消
確定申告について、よく寄せられる質問をまとめました。
質問1:確定申告をしないとどうなりますか。
申告義務があるのに申告しない場合、無申告加算税や延滞税が課されます。
悪質な場合は、重加算税も課される可能性があります。
また還付を受けられる場合でも、申告しなければ還付されません。
質問2:確定申告の期限に遅れたらどうなりますか。
期限後でも申告は可能です。
ただし無申告加算税が課される可能性があります。
期限を過ぎていても、できるだけ早く申告することが大切です。
質問3:医療費が10万円以下でも控除を受けられますか。
総所得金額が200万円未満の場合、総所得金額の5パーセントを超えれば控除できます。
例えば総所得が150万円なら、7万5000円を超えた医療費が控除対象です。
質問4:家族の医療費も合算できますか。
生計を一にする家族の医療費は合算できます。
配偶者、子ども、同居している親などの医療費も対象です。
質問5:副業の収入が20万円以下なら何もしなくていいですか。
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。
市区町村に住民税の申告をする必要があります。
質問6:領収書を紛失した場合はどうすればいいですか。
再発行を依頼するのが基本です。
難しい場合は、支払証明書や銀行の振込記録などで代用できることもあります。
ただし証拠書類がない経費は、認められない可能性が高いです。
質問7:還付金はいつ振り込まれますか。
通常の申告では、申告から1か月から1か月半後です。
e-Taxで申告すると、3週間程度で振り込まれることが多いです。
質問8:税理士に依頼する費用の相場はいくらですか。
個人の確定申告で、5万円から10万円程度が一般的です。
事業規模や取引件数によって変動します。
質問9:過去の申告を訂正したい場合はどうすればいいですか。
税額が多すぎた場合は更正の請求、少なすぎた場合は修正申告を行います。
どちらも税務署に専用の書類を提出します。
質問10:確定申告書の控えは何年保管すべきですか。
確定申告書の控えは、7年間保管することが推奨されます。
帳簿や領収書も同様に7年間保管します。
確定申告を成功させるための最終チェックリスト
確定申告を提出する前に、以下の項目を確認しましょう。
書類の確認
すべての必要書類が揃っているか確認します。
源泉徴収票、支払調書、控除証明書などが揃っているかチェックします。
マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類を用意します。
領収書や請求書などの証拠書類も整理します。
計算の確認
収入金額が正確に記入されているか確認します。
所得金額の計算に誤りがないかチェックします。
各種控除の金額が正しく記入されているか確認します。
税額の計算に誤りがないか、電卓で再計算します。
記入漏れの確認
氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報が記入されているか確認します。
還付を受ける場合、口座情報が正しく記入されているか確認します。
押印が必要な箇所に押印されているか確認します。
提出方法の確認
提出方法を決定します。
e-Tax、郵送、窓口持参のいずれかを選びます。
郵送の場合、送付先の税務署を確認します。
控えを保管するため、コピーを取ります。
提出後の対応準備
納税が必要な場合、納付方法と期日を確認します。
還付の場合、振込予定日を把握します。
領収書や帳簿などの書類を7年間保管する準備をします。
確定申告で人生をもっと豊かに
確定申告は、単なる義務ではありません。
自分の収入と支出を見直す良い機会です。
税金の仕組みを理解することで、節税の方法も見えてきます。
適切に控除を活用すれば、税負担を軽減できます。
事業所得がある方は、経営状況を把握する手段にもなります。
どこに経費がかかっているか、どこに改善の余地があるかが見えてきます。
確定申告を通じて、お金の管理能力が向上します。
初めての確定申告は不安かもしれません。
しかし一度経験すれば、次からはスムーズに進められます。
わからないことは、税務署や税理士に相談しましょう。
デジタルツールを活用すれば、作業時間も大幅に短縮できます。
税金の仕組みと確定申告の方法を理解することは、社会人として大切なスキルです。
本記事で解説した内容を参考に、自信を持って確定申告に臨んでください。
正しい申告を行うことで、安心して事業や生活を続けられます。
確定申告を味方につけて、より豊かな人生を築いていきましょう。

