知らないと損する!税金が安くなる控除・制度まとめ【2026年版】

「毎年これだけ税金を払っているのに、もっと安くなる方法はないのか」と感じたことはありませんか。実は、日本の税制には数十種類もの控除・優遇制度が存在します。しかし、多くの人がその存在を知らずに、払わなくてよい税金を毎年払い続けています。

2026年は税制改正の当たり年です。年収の壁が178万円に引き上げられ、iDeCoの掛金上限も大幅に拡大されます。この記事では、税金が安くなる控除・制度を網羅的にまとめ、手続き方法まで丁寧に解説します。会社員・フリーランス・主婦(夫)・学生など、あらゆる立場の方に役立つ情報をお届けします。

目次

2026年版・税金が安くなる控除と制度の全体像

税金を合法的に減らすための手段は大きく2種類に分かれます。

まず「所得控除(しょとくこうじょ)」です。課税の対象となる所得そのものを減らす仕組みです。所得が減れば、そこにかかる税率も下がるため、節税効果があります。

次に「税額控除(ぜいがくこうじょ)」です。計算された税額から直接、一定額を差し引く仕組みです。所得控除よりも直接的に税金を減らせるため、効果が高いといえます。

この2種類の控除を組み合わせて活用することが、節税の基本戦略になります。以下の表で、主な控除・制度の概要を確認しましょう。

控除・制度名種別最大控除額・優遇対象者
基礎控除所得控除最大58万円(2026年改正)全員
給与所得控除所得控除収入に応じて変動給与所得者
配偶者控除所得控除最大38万円配偶者がいる人
扶養控除所得控除最大63万円扶養親族がいる人
医療費控除所得控除最大200万円一定額以上の医療費を払った人
生命保険料控除所得控除最大12万円保険加入者
地震保険料控除所得控除最大5万円地震保険加入者
社会保険料控除所得控除全額社会保険料を払った人
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo)所得控除掛金全額iDeCo加入者
住宅ローン控除税額控除年末残高×0.7%(最長13年)住宅ローン利用者
ふるさと納税税額控除2,000円超の寄付額全額全員(上限あり)
NISA非課税制度運用益が非課税全員

基礎控除・給与所得控除の2026年大改正

年収の壁が178万円に引き上げ

2026年の税制改正で最も注目を集めているのが、基礎控除と給与所得控除の引き上げです。これにより、所得税がかかり始める「年収の壁」が大きく変わります。

所得税がかかり始める「年収の壁」は2026年に現行の160万円から178万円に引き上げられます。

これは、すべての人に適用される基礎控除と、会社員に適用される給与所得控除の最低額の合算が増加したためです。

2026年分(令和8年分)以後の所得税については、同一生計配偶者・扶養親族の所得要件が62万円以下(現行58万円以下)に引き上げられます。

パートやアルバイトの方が扶養から外れにくくなる調整も行われており、共働き世帯にも大きなメリットがあります。

改正の背景:物価上昇への対応

なぜ今、基礎控除が引き上げられるのでしょうか。

物価が上昇しているのに基礎控除などの金額が据え置かれたままだと、実質的な所得税負担が増えるという問題があります。そこで、税制改正時における直近2年間の消費者物価指数の上昇率に基づいて控除額を調整することとされました。

24〜25年はCPIがおよそ6%上昇したため、2つの控除をそれぞれ4万円底上げし、さらに課税最低限に関しては特例として5万円ずつ上乗せし、計18万円の引き上げとなりました。

今後は、2年に1回のペースで消費者物価指数に連動して控除額が自動的に見直される仕組みも創設されます。物価高に対して税制が追いついてくる、非常に重要な改正といえます。

基礎控除の引き上げ額

所得税の基礎控除額は38万円(現行35万円)に、個人住民税の控除額は33万円(現行30万円)にそれぞれ引き上げられます。

項目改正前改正後(2026年分~)
所得税の基礎控除(本則)35万円38万円
住民税の基礎控除(本則)30万円33万円
給与所得控除の最低保障額55万円65万円
年収の壁(所得税)160万円178万円

【ポイント】年収165万円の方の場合改正前は所得税がかかっていましたが、改正後の178万円の壁を下回るため、所得税の負担がゼロになります。

所得控除の完全解説

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者がいる方は、配偶者の収入に応じて最大38万円の控除を受けられます。

配偶者控除の適用条件

  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下
  • 配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら年収103万円以下)
  • 生計を同一にしていること

配偶者の収入が103万円を超えても、201万円以下であれば「配偶者特別控除」が適用されます。段階的に控除額は減りますが、ゼロにはなりません。

納税者の所得配偶者控除の最大額
900万円以下38万円
900万円超950万円以下26万円
950万円超1,000万円以下13万円
1,000万円超適用不可

扶養控除

16歳以上の扶養親族(子・親・祖父母など)がいる場合に適用される控除です。

扶養控除の控除額一覧

  • 一般の扶養親族(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満):38万円
  • 特定扶養親族(19歳以上23歳未満):63万円
  • 老人扶養親族(70歳以上・同居していない場合):48万円
  • 老人扶養親族(70歳以上・同居している場合):58万円

大学生の子供がいる場合、特定扶養親族として63万円もの控除が受けられます。これは非常に大きな節税効果があります。

特定親族特別控除(2026年新設)

特定親族特別控除(新設)は、19歳以上23歳未満の親族(合計所得金額123万円以下等の条件あり)で扶養控除対象外の方を持つ納税者に適用される新しい控除です。控除額は納税者の所得に応じて最大63万円から3万円まで段階的に設定されています。

これにより、アルバイトをする大学生の子供を持つ家庭でも、一定の控除を受けやすくなります。

医療費控除

年間の医療費が一定額を超えた場合に、超えた分を所得から差し引ける制度です。

医療費控除の計算方法

控除額=(支払った医療費合計−保険金等の補填額)−10万円
(総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%)
最大控除額:200万円

【医療費控除の対象となるもの・ならないもの】

対象になるもの(代表例)

  • 病院・歯科の診療費
  • 処方された薬の購入費
  • 入院の費用(食事代含む)
  • 治療のためのマッサージ・鍼灸
  • 歯列矯正(咀嚼機能の回復が目的)
  • 出産費用(分娩費・入院費)
  • 介護サービスの自己負担分

対象にならないもの(代表例)

  • 美容整形
  • 健康診断(病気が見つかった場合を除く)
  • 予防接種
  • ビタミン剤などサプリメントの購入費
  • 電車・バスの通院交通費以外の交通費

家族分をまとめて申告できるのも大きなメリットです。同居している配偶者・子供・親の医療費も合算できます。

セルフメディケーション税制

通常の医療費控除との選択制で活用できる制度です。

セルフメディケーション税制とは、自身または生計を一にする配偶者・親族が特定一般用医薬品等の購入費を支払い、その年に一定の健康診査や予防接種などを行っている場合に、特定一般用医薬品等合計額のうち12,000円を超える部分の金額(上限額88,000円)を所得から控除できる制度です。

医療費が10万円に達しない年でも、市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入費が12,000円を超えれば控除が受けられます。健康診断を受けている方はぜひ活用を検討してください。

生命保険料控除

生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料を支払っている場合に適用される控除です。

控除の種類と上限額

控除の種類所得税の上限住民税の上限
一般生命保険料控除4万円2.8万円
介護医療保険料控除4万円2.8万円
個人年金保険料控除4万円2.8万円
合計最大12万円7万円

生命保険料控除の拡充として、23歳未満の扶養親族がいる方を対象に、一般生命保険料控除の上限を4万円から6万円に引き上げる特例措置があります。ただし2026年分(令和8年分)のみの時限措置である点に注意が必要です。

年末調整で自動的に処理されますが、複数の保険に加入している場合は証明書をすべて提出しましょう。

地震保険料控除

地震保険に加入している場合は、支払保険料の全額(上限5万円)を控除できます。

支払保険料控除額
50,000円以下全額
50,000円超一律50,000円

住民税でも、支払保険料の半額(上限2.5万円)が控除対象になります。火災保険とセットで加入している方も多いですが、控除対象は地震保険部分のみです。

社会保険料控除

国民健康保険・国民年金・厚生年金保険料は、支払った金額の全額が控除の対象です。配偶者や子供の社会保険料を自分が払っている場合も、まとめて申告できます。

会社員の方は、給与から天引きされている社会保険料が年末調整で自動的に控除されます。ただし、国民年金の追納や任意継続健康保険料を払っている場合は、忘れずに申告しましょう。

雑損控除

災害・盗難・横領によって生活用資産に損害を受けた場合の控除です。台風・地震・火災などで被害を受けた年は、必ず確認してください。

控除額の計算

次の①②のうち多い方の金額
①(損失額−保険金等)−総所得金額等×10%
②(損失額のうち災害関連支出額)−5万円

寄附金控除・政治献金控除

認定NPO法人や公益財団法人などへの寄付は、所得控除または税額控除が選べます。ふるさと納税も寄附金控除の一種です(詳しくは後述)。

ふるさと納税で実質2,000円で返礼品をもらう方法

ふるさと納税の仕組みを正しく理解する

ふるさと納税は「納税」という名称ですが、実態は「自治体への寄付」です。

税金の控除を受けるためには、原則として確定申告を行う必要があります。ふるさと納税ワンストップ特例制度も利用できます。所得税からの控除は「(ふるさと納税額−2,000円)×所得税の税率」で計算されます。

2,000円を超えた寄付金額が所得税と住民税から控除されるため、実質負担は2,000円だけになります。さらに返礼品として地域の特産品が受け取れるため、実質的にお得な制度です。

控除の流れ

寄付金額(例:5万円)
↓
確定申告orワンストップ特例申請
↓
所得税から還付(約2,000円)
↓
翌年の住民税から控除(約46,000円)
↓
実質負担は2,000円だけ!

年収400万円の独身者の場合、寄付上限額の42,000円から実質負担2,000円を差し引いた金額が所得税と住民税からの還付・控除対象になります。

ワンストップ特例制度の活用

確定申告が不要な給与所得者で、寄付先が5自治体以内の場合は「ワンストップ特例制度」が使えます。各自治体に申請書を郵送するだけで、翌年の住民税から一括して控除されます。手間が大幅に省けるため、多くの会社員にとって便利な制度です。

ただし、医療費控除や住宅ローン控除の初年度など、確定申告が必要な場合はワンストップ特例は無効になります。その場合は、確定申告でふるさと納税も一緒に申告しましょう。

ふるさと納税の上限額の目安

年収(独身)控除上限額の目安
300万円約28,000円
400万円約42,000円
500万円約61,000円
600万円約77,000円
700万円約108,000円
800万円約129,000円

※扶養家族がいる場合や医療費控除を適用する場合は上限額が変わります。各ふるさと納税サイトのシミュレーターで事前に確認することをおすすめします。

医療費控除と併用する際の注意点

医療費控除を受けるには確定申告が必要です。ふるさと納税の控除の手続きも確定申告で行いましょう。医療費控除を受けると所得金額が少なくなるため、ふるさと納税の控除上限額も少なくなります。

医療費控除とふるさと納税を組み合わせる場合は、必ず事前にシミュレーションを行いましょう。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

2026年の住宅ローン控除の内容

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入・建築した場合に受けられる税額控除です。所得控除と異なり、計算された税額から直接差し引かれるため、節税効果が高い制度です。

住宅ローン控除は、住宅取得を支援・促進を目的として、住宅とその敷地の取得のために契約した住宅ローンで一定の要件を満たすものが対象です。毎年住宅ローン残高に対して最大0.7%を10年間にわたって所得税から控除する制度です。

住宅ローン控除の延長と見直しが2026年度税制改正大綱に盛り込まれています。

2026年の住宅ローン控除の主な要件

適用を受けるための主な条件

  • 住宅ローンの返済期間が10年以上
  • 床面積が50㎡以上(特例あり:40㎡以上)
  • 合計所得金額が2,000万円以下
  • 居住の用に供した年の翌年から控除が始まる
  • 居住開始から原則13年間控除

借入限度額と控除率

住宅の種類借入限度額控除率控除期間
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅5,000万円0.7%13年
ZEH水準省エネ住宅4,500万円0.7%13年
省エネ基準適合住宅4,000万円0.7%13年
その他の住宅0円(新築は対象外)

省エネ性能の高い住宅ほど、借入限度額が高く設定されています。新築住宅の場合、省エネ基準を満たさない住宅は控除の対象外となる点に注意が必要です。

初年度は必ず確定申告が必要

住宅ローン控除の初年度は、必ず確定申告で申請する必要があります。2年目以降は、勤務先の年末調整で処理できるようになります。

【確定申告時に必要な書類】

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  • 建物・土地の登記事項証明書(登記簿謄本)
  • 建物の請負契約書または売買契約書のコピー
  • 住民票の写し(居住の事実を証明)

ふるさと納税と住宅ローン控除の併用

ふるさと納税と住宅ローン控除は基本的に併用できます。

ふるさと納税と住宅ローン控除の併用は可能です。ただし、ともにあくまで税額の軽減制度となりますので、当該年度に発生している税額以上は控除できません。

住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要なため、ふるさと納税のワンストップ特例は使えません。2年目以降はワンストップ特例が使えるようになります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を積みながら節税

iDeCoの3つの税制優遇

iDeCoは、老後のための私的年金制度です。節税メリットが3段階にわたって設けられており、非常に効果的な節税ツールです。

優遇①:掛金が全額所得控除毎月拠出する掛金が、全額「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。所得税と住民税の両方で節税できます。

優遇②:運用益が非課税通常の投資では、利益に約20.315%の税金がかかります。iDeCoでは、運用中に得た利益には税金がかかりません。

優遇③:受取時にも控除が適用一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除が適用されます。

2026年12月改正:掛金上限が大幅拡大

2026年12月から、iDeCoの掛金上限が大幅に引き上げられます。最も大きな変更は、会社員の掛金上限が月2万円から最大月6.2万円に拡大されることです。

iDeCoの掛金上限額は加入資格の区分によって異なります。2026年12月に予定されている改正では、第1号被保険者と第2号被保険者の掛金上限額が引き上げられる見込みです。

加入区分改正前の上限改正後の上限(2026年12月~)
会社員(企業年金なし)月2.3万円月6.2万円(企業年金との合算)
会社員(企業年金あり)月1.2〜2万円月6.2万円(企業年金との合算)
自営業・フリーランス月6.8万円月7.5万円
専業主婦(夫)月2.3万円月2.3万円(変更なし)

今回の掛金上限の引き上げにより、さらにiDeCoの節税効果を享受しやすくなったと言えるでしょう。

節税シミュレーション(年収500万円の会社員の場合)

掛金年間掛金額年間節税額(税率20%の場合)
月2.3万円(現行)27.6万円約5.5万円
月6.2万円(改正後)74.4万円約14.9万円

企業年金がない会社員が通年でiDeCoに月6.2万円を拠出できれば年74.4万円が所得控除となり、税率33%なら約24.6万円の軽減効果が見込まれます。

iDeCoの注意点

iDeCoには優れた節税効果がある一方で、重要な制約もあります。

必ず確認すべきデメリット

  • 原則60歳まで引き出せない。急にお金が必要になっても解約できません。
  • 運用リスクがあります。元本保証型商品を選ぶことも可能ですが、運用成績により受取額が変動します。
  • 口座管理手数料が毎月かかります(金融機関によって異なる)。
  • 受取時に退職所得控除との「二重取り」が難しくなっています。

今回の改正により、勤務先の退職金とiDeCoでそれぞれ退職所得控除を適用するための空白期間が「5年間」から「10年間」に変更となる点には注意が必要です。

これらのデメリットを理解した上で、ライフプランに合わせて活用しましょう。

NISA(少額投資非課税制度)で投資利益を非課税に

新NISAの基本構造

2024年から恒久化された新NISAは、投資で得た利益(売却益・配当金)を非課税にする制度です。通常、投資利益には約20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すれば税金がかかりません。

新NISAの概要

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度額1,800万円(合計、うち成長投資枠は1,200万円)
対象商品長期積立向け投資信託上場株式・投資信託等
非課税期間無期限無期限

2026年改正:未成年者のNISA解禁

次世代の資産形成支援として、NISAのつみたて投資枠の口座開設可能年齢を0〜17歳に拡充します(口座保有者である子が0〜17歳である間については、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円)。

子供の教育資金や将来の資産形成に、早期から非課税で運用できるようになります。

iDeCoとNISAの賢い使い分け

観点iDeCoNISA
節税タイミング積立時(掛金が所得控除)運用時・受取時(利益が非課税)
引き出し原則60歳まで不可いつでも可能
向いている用途老後資金中長期の資産形成全般
優先順位の目安2番目1番目

まずNISAのつみたて投資枠、次にiDeCo、余裕があればNISAの成長投資枠の順がおすすめです。NISAはいつでも引き出せますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。

会社員が見落としがちな控除・非課税制度

通勤手当の非課税枠拡大

2026年の税制改正大綱には、通勤手当の非課税限度額の引き上げが含まれています。

マイカー通勤の場合は、通勤距離に応じた非課税限度額が設けられています。公共交通機関を利用している場合は、実費相当額が非課税になります。

食事手当の非課税枠拡大

企業が従業員に出している食事代補助について、1カ月あたりの非課税の上限額を現行の3,500円から7,500円に引き上げます。物価上昇をふまえた対応で、1984年から据え置いてきた限度額を見直します。

会社から食事補助を受けている場合、月7,500円までは給与として課税されません。社員食堂の補助や食事手当がある方は確認しておきましょう。

在宅勤務の経費

リモートワークに関連する費用は、一定の要件を満たせば経費計上や非課税扱いになる場合があります。会社から在宅勤務手当が支給されている場合の取り扱いについては、勤務先の規定を確認しましょう。

特定支出控除(会社員の確定申告)

会社員でも、一定の要件を満たす業務関連支出が「特定支出控除」として認められる場合があります。

特定支出として認められるもの

  • 通勤費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 単身赴任者の帰宅旅費
  • 図書費・衣服費・交際費(業務上必要なもの)

給与所得控除の2分の1を超えた部分が控除対象になります。会社の証明書が必要なため、まず人事部門に相談しましょう。

フリーランス・個人事業主が活用できる節税策

青色申告特別控除(最大65万円)

個人事業主が青色申告を行うことで、最大65万円の特別控除を受けられます。

申告方法控除額
e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存法に対応した保存65万円
上記以外の青色申告55万円
白色申告0円

65万円の控除は非常に強力です。所得税率が20%の場合、13万円の節税効果があります。記帳の手間はかかりますが、必ず青色申告を選びましょう。

小規模企業共済

個人事業主・フリーランスが廃業・引退後の生活資金として積み立てる制度です。

主なメリット

  • 掛金(月1,000〜70,000円)が全額所得控除
  • 積立金は運用利回りが設定されている(低金利時代でも有利)
  • 廃業・退職時の受取金に退職所得控除が適用

年間最大84万円(月7万円)を所得控除できます。iDeCoと同様に所得控除になるため、両方を活用することでさらに節税効果が高まります。

経費の適切な計上

事業に関連する支出は適切に経費として計上することが大切です。

代表的な経費の例

  • 事務所・店舗の家賃(自宅兼事務所の場合は按分)
  • 仕事に使うパソコン・スマートフォン・周辺機器
  • 通信費(事業利用分)
  • 交通費(事業関連)
  • 書籍・セミナー費用
  • 会計ソフト・クラウドサービスの利用料
  • 接待交際費(事業関連)

プライベートと事業の費用は明確に区分することが重要です。領収書は必ず保管し、用途をメモしておく習慣をつけましょう。

家族への給与(専従者給与)

青色申告の個人事業主は、同居している配偶者や家族を従業員として雇い、給与を支払う「専従者給与」を経費にできます。専従者給与は届出書を税務署に事前提出した上で、適正な金額の範囲内であれば全額経費です。

相続・贈与に関する節税策

暦年贈与(年110万円の非課税枠)

毎年、受贈者一人当たり110万円までは贈与税がかかりません。これを「暦年贈与」といいます。計画的に活用することで、相続財産を少しずつ移転し、将来の相続税を軽減できます。

【暦年贈与の注意点】

  • 贈与は毎年独立した行為として行う必要があります
  • 最初から計画的に連続して贈与すると「定期贈与」とみなされる場合があります
  • 贈与の事実を客観的に残すために、贈与契約書を作成することを推奨します
  • 贈与を受けた側が実際に管理・使用できる状態にしておくことが重要です

教育資金の一括贈与

直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限(令和8年3月31日)を延長しない方針です。

2026年3月31日で教育資金の一括贈与の非課税措置が終了します。活用を検討している方は、期限内に手続きを完了させましょう。

住宅取得等資金の非課税贈与

直系尊属(親・祖父母)からの住宅購入資金の贈与には、一定の非課税枠が設けられています。省エネ住宅等の場合は1,000万円まで非課税で贈与できます。

相続税の基礎控除

相続税がかかるのは、遺産の総額が基礎控除を超えた場合のみです。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が3人いれば、基礎控除は4,800万円になります。多くの家庭では相続税がかからないため、まず基礎控除額を計算してみましょう。

控除を申請する方法:確定申告と年末調整の違い

年末調整で申請できる控除

会社員の場合、以下の控除は年末調整で処理できます(確定申告不要)。

  • 給与所得控除(自動)
  • 基礎控除
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 社会保険料控除
  • iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
  • 住宅ローン控除(2年目以降)

毎年秋ごろに会社から配布される「給与所得者の扶養控除等申告書」と各種控除申告書に記入・提出しましょう。

確定申告が必要な控除

以下の控除は、会社員でも自分で確定申告を行う必要があります。

  • 医療費控除
  • セルフメディケーション税制
  • ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)
  • 住宅ローン控除(初年度)
  • 雑損控除
  • 寄附金控除
  • 特定支出控除

確定申告の期間は、毎年2月16日〜3月15日です。国税庁のe-Taxを使えば、スマートフォンやパソコンから簡単に申告できます。

e-Taxで確定申告する手順

必要なもの

  • マイナンバーカード(または利用者識別番号)
  • マイナンバーカード対応スマートフォンorICカードリーダー
  • 源泉徴収票
  • 各控除の証明書・領収書

申告の流れ

  1. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
  2. 「作成開始」から申告書の種類を選択
  3. 収入・控除の情報を入力
  4. 税額を確認してe-Taxで送信
  5. 還付がある場合は、指定口座に振り込まれる(約1〜2ヶ月後)

初めての方でも、入力フォームの案内に沿って進めれば問題ありません。わからないことがあれば、税務署の確定申告相談会を活用しましょう。

控除の組み合わせ戦略:最大の節税効果を出すには

基本の組み合わせパターン

会社員(子なし・年収500万円の場合)

活用すべき制度を優先度順に並べると以下のようになります。

  1. iDeCo(月2.3万円→改正後は月6.2万円)
  2. ふるさと納税(上限約61,000円)
  3. NISA(つみたて投資枠:月10万円)
  4. 医療費控除(医療費が多い年に)
  5. 住宅ローン控除(マイホーム取得時)

フリーランス・個人事業主の場合

  1. 青色申告(65万円控除)
  2. 小規模企業共済(月7万円まで)
  3. iDeCo(月6.8万円→改正後は月7.5万円)
  4. ふるさと納税
  5. NISA

節税シミュレーション例

【ケーススタディ:年収600万円の会社員Aさん(配偶者・子供なし)】

活用制度:iDeCo月2.3万円+ふるさと納税年77,000円

iDeCo節税効果:年27.6万円×所得税20%+住民税10%=約8.3万円ふるさと納税節税効果:実質2,000円で約75,000円分の税が控除

合計で年間約16万円以上の節税効果さらにふるさと納税の返礼品(食料品など)も受け取れます。

2026年に新たに注意すべき税制変更

防衛特別所得税の創設

防衛特別所得税(税率1%)の創設が2026年の税制改正大綱に含まれています。

防衛費の財源確保のため、所得税額に1%が上乗せされる新税が導入されます。開始時期は今後の議論で決まりますが、すべての所得税納税者に影響します。

暗号資産の分離課税化

暗号資産(仮想通貨)取引で得た所得について、金額に関係なく一律で20%の税を課す予定です。2028年からの開始を見込み、所得税15%・住民税5%の内訳となります。株式や投資信託と同じ扱いとする分離課税方式に変えます。

現在は最高税率55%の総合課税が適用されていましたが、2028年から分離課税になります。仮想通貨投資をしている方にとっては大幅な税負担軽減につながります。

相続直前取得不動産の時価評価

相続直前に取得した投資用不動産の時価評価の見直しも2026年の税制改正に含まれています。

相続税対策として不動産を購入し、相続税評価額(路線価)と時価の乖離を利用した節税策が制限されます。相続対策を検討されている方は、税理士に相談することをおすすめします。

よくある質問(Q&A)

Q:副業収入がある場合、確定申告は必要ですか?

A:給与所得者で副業の所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。20万円以下でも、住民税の申告は必要になる場合があります。副業収入がある場合は、必要経費をしっかり計上することで節税につながります。

Q:パートで収入が増えたら扶養から外れますか?

A:2026年改正で、扶養から外れる基準となる配偶者の合計所得金額が48万円から58万円以下(給与収入でいうと103万円から123万円相当)に引き上げられます。以前より稼いでも扶養に入れるケースが増えます。

Q:iDeCoは今すぐ始めるべきですか?

A:2026年12月の上限拡大を待たずに、今の上限額で早めに始めることをおすすめします。iDeCoは複利効果が大きく、開始が早いほど有利です。また、毎月の節税効果は掛金を拠出し始めた月から享受できます。

Q:医療費は年をまたいで合算できますか?

A:できません。医療費控除は1月1日から12月31日の1年間に支払った医療費が対象です。年をまたいでの合算はできないため、年末に医療費が10万円に近い場合は、年内に支払いを済ませるかどうかを検討しましょう。

Q:ふるさと納税は何月までにやればよいですか?

A:その年の12月31日までに入金が完了したものが控除対象になります。年末は混雑するため、11月〜12月上旬には申し込みを済ませることをおすすめします。

Q:個人事業主でも住宅ローン控除は使えますか?

A:使えます。ただし、所得金額が2,000万円以下であることなど、一定の要件を満たす必要があります。自宅兼事務所の場合は、住居部分のみが控除対象になります。

税金の控除・制度を活用するために今日からできること

税金が安くなる控除・制度を最大限活用するためには、以下の順番で行動することを推奨します。

今月中にすること

  • iDeCoに未加入の場合は、金融機関で口座開設を申請する(1〜2ヶ月かかります)
  • ふるさと納税の年間上限額をシミュレーターで確認する
  • NISA口座がない場合は証券会社で開設する

年末(10〜12月)にすること

  • 年末調整の書類をすべてそろえて会社に提出する
  • ふるさと納税を年内に完了させる(12月31日が締め切り)
  • 医療費の領収書を整理し、合計金額を確認する

確定申告(2〜3月)にすること

  • 医療費控除・住宅ローン控除(初年度)などをe-Taxで申告する
  • 還付金の振込先口座を確認しておく

2026年版の税金控除・制度を活用して手取りを増やそう

2026年の税制改正は、多くの人にとって追い風となる内容が多く含まれています。

基礎控除と給与所得控除の改正を合わせると、所得税がかかり始める年収ラインが大きく変わります。

知らないだけで、毎年数万円から数十万円もの税金を余分に払っているケースは珍しくありません。本記事で紹介した控除・制度を一つひとつ確認し、自分に該当するものから実践してみてください。

特に優先度が高いのは以下の3つです。

  • iDeCo:掛金が全額所得控除になる最強の節税ツール
  • ふるさと納税:実質2,000円で返礼品がもらえる誰でも使える制度
  • 医療費控除:年間医療費が10万円を超えたら必ず申告

税金は「知識」があるかどうかで負担額が大きく変わります。ぜひ本記事を参考に、2026年の節税対策を今すぐ始めてください。

【免責事項】本記事は、2026年4月時点の税制・法令等に基づいて作成しています。税制は変更になる場合があり、個人の状況によって適用される控除や効果は異なります。実際の節税対策や申告については、税理士等の専門家にご相談ください。国税庁のWebサイト(nta.go.jp)や各省庁の公式情報も合わせてご確認ください。

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