「頭のいい子」の親がやっている声かけ|東大生100人に聞いた結果

子どもの将来を思うとき、多くの親御さんが抱く疑問があります。

「どう声をかければ、子どもの学力は伸びるのだろう?」

この問いに対して、最も説得力ある答えをくれるのが、東大生100人への実態調査です。

「頭のいい子」の親がやっている声かけには、共通したパターンがあります。それは特別なテクニックでも、高価な教材でもありません。日常の何気ない言葉の積み重ねに、その秘密が隠されていました。

本記事では、東大生への調査データや心理学の研究をもとに、今日から実践できる声かけを徹底的に解説します。「NGな声かけ」と「OKな声かけ」を対比しながら、具体的なフレーズまで紹介しますので、ぜひ最後まお読みください。

目次

東大生100人に聞いてわかった「親の声かけ」の実態

96%の東大生が「親は話を聞いてくれた」と回答

まず驚くべきデータをご紹介します。

東大生に「子ども時代、親はどう接してくれたか?」を尋ねたところ、なんと96%が「親は自分の話をよく聞いてくれた」と答えました。

この数字には重要な意味があります。注目すべきは、これは親ではなく東大生自身が答えたアンケートだということです。親が自分をよく見せようとしたわけではなく、子ども自身が「親に認めてもらえた」と感じていた——この事実が重要なのです。

「話を聞く」というシンプルな行為が、学力向上にこれほど深く関わっているとは、多くの親御さんが想像していないかもしれません。しかし、データはその関係を明確に示しています。

東大生の90%が「親に話を聞いてもらえた」

プレジデントFamily誌が東大生を対象に行なった別の調査でも、東大生の親の9割が「子どもの話を聞く」のを習慣にしていたことが明らかになりました。

東北大学の川島隆太教授が東大生に「親との関わり」アンケートを実施したところ、90%が「YES」とチェックを入れた項目がありました。

それは「家の人に話をしっかり聞いてもらった」という項目です。

さらに、川島教授が仙台で小中高の学生を7年間追跡調査した結果も、「家の人に話をしっかり聞いてもらった」と答えている子が学力を上げるという真実を証明しており、膨大なデータが因果関係を示しています。

なぜ「話を聞く」と学力が上がるのか

「話を聞くこと」と「学力」は一見無関係に思えます。しかし、その間には重要なメカニズムがあります。

親が子どもの話をよく聞く。それは、子どもの存在を認めることにほかなりません。子どもは親に認めてもらうことで「安心感」を得ます。「自分はここにいていいんだ」「親は自分の味方だ」——この安心感こそが、子どもの心と才能を育む基盤になるのです。

東北大学の川島隆太教授も、このメカニズムを次のように説明しています。

「家族のコミュニケーションがきちんと取れているということです。すると、親子の愛着関係が高まり、子どもの精神状態が安定しました。こうした親子関係にある子どもは、家で安心して暮らしているから、落ち着いて勉強に取り組めるのです」

安心できる環境があってこそ、子どもは本来の学ぶ力を発揮できます。これが、「話を聞く」ことと学力の繋がりです。

東大生の親が「勉強しなさい」と言わなかった理由

東大生に聞くと「勉強しろと言われたことはなかった」「親から勉強を教えてもらったことは一度もない」と語る学生が多かったのです。

これは多くの親御さんが驚く事実でしょう。しかし、東大生の親に共通しているのは、言葉で子どもをコントロールしようとしないという姿勢です。勉強しろと命令するのではなく、子どもが自ら動きたくなる環境と言葉を選んでいます。

一般的な親の声かけ東大生の親の声かけ
「勉強しなさい」「今日学校で何か面白いことあった?」
「宿題やったの?」「どんなことが得意になった?」
「早くしなさい」「自分でどう思う?」
「他の子はできてる」「前よりずいぶん上手くなったね」
「もっと頑張れ」「よく最後まで諦めなかったね」

では具体的に、東大生の親はどのような声かけをしていたのでしょうか。以下で詳しく解説します。

「頭のいい子」を育てる声かけの7つの鉄則

鉄則1:能力ではなく「努力・プロセス」を褒める

これは最も重要な声かけの鉄則です。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授は、長年の研究から驚くべき事実を発見しました。能力を褒めると生徒の知能が下がり、努力を褒めると生徒の知能が上がる。

具体的な実験内容を見てみましょう。

褒めるにあたっては生徒を二つのグループに分け、一方のグループではその子の能力を褒めた。「まあ、8問正解よ。良く出来たわ。頭がいいのね。」といった具合です。もう一方のグループでは、その子の努力を褒めた。「まあ、8問正解よ。良く出来たわ。頑張ったのね。」といった具合です。

その後の結果は明確でした。

頭の良さを褒めたグループは、新しい問題を避け、同じ問題を解こうとする傾向が強くなった。一方、努力を褒められた生徒達は、その9割が、新しい問題にチャレンジする方を選び、学べるチャンスを逃さなかった。

さらに成績への影響も顕著でした。

難問が出された後、頭の良さを褒めたグループは、成績ががくんと落ち、再びやさしい問題がだされても回復しなかった。自分の能力に自信がなくなり、スタート時よりも成績が落ちてしまったのです。一方、努力を褒められたグループは、難問だされてもいやになったりせず、むしろ、難しい問題の方が面白いと答える子供が多かった。

つまり、「頭がいいね」という褒め言葉が、子どもの学力を下げる可能性があるのです。

【NGな声かけとOKな声かけ:褒め方の比較】

NG:「さすが!頭がいいね」「才能があるね」「天才だ」

OK:「よく最後まで諦めなかったね」「どんなふうに考えたの?」「この部分、すごく工夫したね」

ドゥエック教授が提唱するグロースマインドセット(成長マインドセット)の考え方によれば、「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる」という信念を子どもに持たせることが大切です。能力ではなく努力を認める声かけが、この信念を育てます。

具体的なフレーズ例

  • 「どうやって考えたの?」(思考プロセスへの関心)
  • 「前よりずっと上手くなったね」(成長を認める)
  • 「諦めずに最後まで取り組んだね」(努力の継続を褒める)
  • 「難しい問題に挑戦したんだね」(挑戦する姿勢を評価)
  • 「どんな工夫をしたの?」(解決策を引き出す)

鉄則2:子どもの話を「聴く」ことを最優先にする

「聞く」と「聴く」は違います。東大生の親が実践していたのは、ただ「聞く」だけでなく、心を込めて「聴く」ことでした。

「話を聴く」ための具体的な方法として、傾聴のポイントが「あいうえお」で整理されています。

  • あい:アイコンタクトと相槌
  • い:(変化に)気づく
  • う:うなずき
  • え:笑顔
  • お:オウム返しとオーバーリアクション

子どもの話を聞くときは、子どもの目を見て(=アイコンタクト)、「そうなんだ」「へえ!」などの合いの手を打ったり(=相槌)、首を縦に振って理解や承諾を示したり(=うなずき)します。大切なのは、基本的に明るい表情(=笑顔)で話を聞き、子どもをリラックスさせることです。

「聴いているつもり」との違い

子どもが話しかけてきたとき、きちんと子どもの方に体を向け、子どもの目を見て話を聞いているでしょうか。スマートフォンを触りながら、あるいはテレビを観ながら、適当に相槌をうったり、生返事をしたりしてはいませんか?

親が「話を聞いているつもり」になっているだけでは、子どもは「しっかり話を聞いてもらった」という満足感を得られません。そればかりか、「どうせちゃんと聞いてくれない」と、子どもが心を閉ざしたり、無気力になったりしてしまう恐れもあります。

【NGな聴き方とOKな聴き方】

NG:スマホを見ながら「うんうん」と相槌を打つ

OK:手を止めて体を向け、目を合わせて「そうなんだ、それで?」と続きを促す

共感を先に、アドバイスを後に

子どもが愚痴をこぼしたとしたら、まずは「行きたくないんだね」「嫌なんだね」と「オウム返し」で共感してあげましょう。

大切なのは、自分が言いたいことは後回しにして、とにかく共感すること。子どもの話を聞いていると、つい否定や反論をしたくなってしまうかもしれません。でも、それでは逆効果。子どもは、「どうせ言っても無駄だ」と、話をしてくれなくなってしまいます。

鉄則3:比較せず「過去の自分」との成長を伝える

東大生の親が徹底して避けていたのが、他の子どもとの比較です。

他の子どもと比較する言葉も、東大生の親は避けていたとされています。比較は子どもの自己肯定感を下げ、学習意欲を損なう原因になります。

代わりに有効なのが、「過去の自分」との比較です。

「去年と比べて、ずいぶんテストの順位が上がったね」「小学生の時より字がきれいになったね」など、子ども自身の成長に着目します。子ども自身も、自分の成長を自覚し、新たな目標を見つけやすくなります。

また、人前で我が子を下げる発言をしないことも、東大生の親の共通点です。「うちの子はダメで…」といった謙遜の言葉も、子どもの耳には深く刺さります。

【NGな比較とOKな比較】

NG:「〇〇ちゃんはできるのに、なぜあなたは…」「お兄ちゃんのときはもっと早かった」

OK:「先月より30点も上がったね」「最初は全部できなかったのに、今は半分できるようになったよ」

鉄則4:「なぜ?」「どう思う?」で思考を引き出す

東大生の親に共通するもう一つの習慣が、子どもに「質問」をすることです。

「宿題やったの?」「今日学校どうだった?」では会話が広がりません。東大生の親が実践していたのは、子どもが自分の頭で考えるきっかけを与える質問です。

  • 「今日授業でどんなことを学んだの?」
  • 「なぜそう思うの?」
  • 「もし違う方法があるとしたら?」
  • 「どうすればうまくいくと思う?」
  • 「一番面白いと思ったのはどの部分?」

これらの質問は、「オープンクエスチョン」と呼ばれる答えが一つでない質問です。子どもは「はい」「いいえ」では答えられないため、自分の頭で考えることを促されます。

頭のいい子が育つ家庭は、自然と親子でニュースに触れている家庭が多いとされています。食事の時間にニュースを話題にし、「このことについてどう思う?」と子どもの意見を引き出す。これが知的好奇心を育てる日常の会話です。

【思考を引き出す質問の例】

「なんでそう思ったの?」(根拠を考えさせる)

「もし自分だったらどうする?」(当事者意識を育てる)

「他にどんな方法があるかな?」(発想を広げる)

「その問題の一番難しいところはどこ?」(問題の核心を捉えさせる)

鉄則5:失敗したときこそ「過程を認める」声かけをする

子どもが失敗したとき、親の声かけが子どもの将来を左右します。

東大生の親に失敗したときに過程をほめる理由を聞いたところ、「失敗したときに、子どもが腐らないようにするため」「次の挑戦を見据えられるように、前を向けるようにするため」という回答があった。

たとえば中学受験で第一志望に受からなかったときにも、「でも、よく頑張ったよ」と、手を叩いて褒めてくれたのをよく覚えている。そのうえで、「直前期に成績が伸びたのは頑張ったからだ」「1年前と比べたら全然違った」と、頑張りを具体的にたくさんほめてくれた。

これは、失敗を「ただの失敗」ではなく「成長の証拠」として捉え直す声かけです。

そうならないよう、頑張った過程を褒めてあげることで、その努力を「頑張って、成長することには成功した」という成功体験に昇華させてあげることができるわけです。

失敗時の声かけ4ステップ

  1. まず共感する(「悔しかったね」「残念だったね」)
  2. 努力の過程を認める(「あれだけ頑張ったんだもの」)
  3. 具体的な成長を指摘する(「この部分は前より確実に伸びた」)
  4. 次への展望を一緒に考える(「次はどうしようか?」)

【失敗時のNGとOKな声かけ】

NG:「なんでできなかったの」「もっと頑張らないと」「あの子はできたのに」

OK:「よく最後まで諦めなかったね。どこが難しかった?」

鉄則6:子どもの「やりたい」を否定しない

東大生の親は、子どもがやりたいと言ったことに対して、習い事や塾も含めてNOと言わない傾向があります。子どもの「やってみたい」という気持ちを尊重し、自発的な学びの芽を摘まないことが重要です。

知的好奇心は、命令や強制では育ちません。子どもが「面白い」と感じた瞬間を大切にする声かけが必要です。

  • 「それ、面白そうだね。どこがそんなに惹かれたの?」
  • 「やってみたいなら、やってみよう」
  • 「どんなことが学べそう?」
  • 「一緒にやってみようか」

子どもを勉強好きにさせたいなら、「勉強しなさい」と言うより先に、勉強に対し好奇心を向けさせることを意識したほうがよいでしょう。

ベネッセの調査が示す「勉強が好きになる子」の特徴

東京大学社会学研究所とベネッセ教育総合研究所の調査において、「勉強が嫌い→勉強が好き」になった子どもが勉強する理由のトップは、「新しいことを知るのがうれしいから」で76.1%でした。

一方、「勉強が嫌いなまま」の子どもが勉強する理由のトップは、「先生や親にしかられたくないから」で51.3%でした。

「怒られないための勉強」から「知ることが楽しい勉強」へ。この転換こそが、学力の土台を作ります。

鉄則7:「結果」より「存在そのもの」を認める

最後に、最も根本的な声かけの鉄則です。

結果ではなく、存在そのものを受け止めることが大切です。「頑張ったね」の前に、まず「話してくれてありがとう」と伝えます。子どもが自分の気持ちを表現したこと自体を認めてあげましょう。

「100点取れてエライね」という声かけは、一見良い褒め言葉に見えます。しかし、これは「100点を取れない自分はダメだ」というメッセージも同時に伝えてしまいます。

大切なのは、テストの点数や成績とは無関係に、子ども自身の存在を認める声かけです。

  • 「あなたがいてくれて、嬉しいよ」
  • 「話してくれてありがとう」
  • 「あなたのことが好きよ」
  • 「あなたはあなたのままでいいよ」

これらの声かけが積み重なることで、子どもは「自分はここにいていい存在なんだ」という安心感を得られます。この安心感が、子どものあらゆる力を伸ばしていく土台になります。

やってはいけない「NGな声かけ」完全リスト

「頭のいい子」を育てようとするとき、何をするかと同じくらい大切なのが「何をしないか」です。以下は、東大生の調査や心理学の研究から導き出されたNGな声かけのリストです。

NGその1:「勉強しなさい」の繰り返し

勉強を強制されると、子どもは勉強を「やらされるもの」と認識してしまいます。

「勉強しなさい」と言えば言うほど、子どもにとって勉強は「やらされる嫌なもの」になっていきます。この言葉が循環するほど、自主的な学習は遠のいていきます。

NGその2:他の子と比べる発言

「〇〇ちゃんは100点だったのに」「お兄ちゃんのときは、もっとできた」という比較は、子どもの自己肯定感を根底から傷つけます。

他人と比べられた子どもの目的は、親に褒められることです。成果を出さないと「親に愛されない」と次第に目標を失い、無気力になるケースもあります。

NGその3:能力への攻撃的なラベリング

「あなたは本当にダメね」「うちの子は勉強ができなくて」「才能がない」という言葉は、子どもの可能性を言葉で閉じてしまいます。

これは「固定マインドセット」を植え付ける典型的な声かけです。能力をほめられた子どもは、自然と「自分は頭が良いか?」「賢く見えているだろうか?」ということに関心を向けるようになり、周囲にそのことを認めてもらおうと振る舞うようになります。能力を否定する言葉は、この逆のパターン——「自分はダメだ」という思い込み——を作り上げます。

NGその4:長時間のお説教

子どもが約束を破った、他人を傷つけたといった問題を起こした場合には、きちんと叱る必要があります。でも、長時間のお説教は逆効果。子どもは途中からなぜ叱られているのかすらわからなくなってしまいます。

叱るときは短く、明確に。感情的になりそうなときは、一度その場を離れることも有効です。

NGその5:スマホを見ながらの「ながら聞き」

南カリフォルニア大学と日本のNPOが行なった調査では、調査対象となった子どもの5人に1人が、「親が自分よりスマートフォンを大事にしていると感じる」と答えたそうです。

子どもは親の行動を敏感に観察しています。スマホを見ながらの相槌は、「自分の話はどうでもいい」というメッセージとして受け取られます。

NGその6:愚痴や悪口を子どもの前で話す

東大生の親は、子どもに対して「愚痴を言わない」という姿勢を大切にしていました。

「あの先生は最悪」「ウチのお父さんはダメ」などの発言は、子どもの人間観や社会への信頼感を傷つけます。ネガティブな感情を子どもの前でぶつけることは、子どもの精神的安定を損ないます。

NGな声かけなぜ問題かOKな代替表現
「勉強しなさい」外発的動機づけになる「今日は何を学んだの?」
「頭がいいね」固定マインドセットを植え付ける「よく頑張ったね」
「〇〇ちゃんはできるのに」自己肯定感を傷つける「先月より上手くなったね」
「なんでできないの」無力感を生む「どこが難しかった?」
「ダメな子ね」存在を否定する「そのやり方を変えてみよう」
「うちの子は…」(人前で)子どもの尊厳を傷つける「子どもなりに頑張っています」

年齢別・シーン別の具体的な声かけフレーズ集

幼児期(3〜6歳)に効果的な声かけ

幼児期は、好奇心の芽を育てる最重要時期です。この時期の声かけが、学びへの姿勢の土台を作ります。

知的好奇心を育てる声かけ

  • 「あれは何だろうね?一緒に調べてみようか」
  • 「どうしてそうなると思う?」
  • 「面白いこと気づいたね!」
  • 「もっと教えて、どんな感じがした?」
  • 「一緒に本で調べてみようか」

自己肯定感を育てる声かけ

  • 「できたね!諦めなかったからだよ」
  • 「あなたが作ったの?すごく頑張ったね」
  • 「転んでも、また立ち上がれたね」
  • 「失敗しても大丈夫。また挑戦してみよう」

【幼児期の声かけ実例】

子どもがブロックを積み上げているとき:

NG:「早く片づけなさい」

OK:「高く積めたね!何個重ねたの?どうすると倒れないかな?」

小学校低学年(7〜9歳)に効果的な声かけ

この時期は、勉強が「楽しいもの」か「つらいもの」かが決まる重要な段階です。

学習習慣を作る声かけ

  • 「今日の授業でどんなことが一番おもしろかった?」
  • 「宿題、どこから始めようか?」(命令ではなく選択肢を)
  • 「ここまでできたね、あと少しだ」
  • 「わからないところはどこ?一緒に考えようか」

読書習慣を育てる声かけ

  • 「この本、どんな話だった?」
  • 「一番おもしろかった場面は?」
  • 「もし自分がその子だったら、どうする?」

小学校高学年(10〜12歳)に効果的な声かけ

友達関係が複雑になり、自意識も高まる時期です。

自主性を育てる声かけ

  • 「どうしたいと思ってる?」
  • 「自分ではどう思う?」
  • 「何が邪魔してると思う?」
  • 「どんな方法を試してみた?」

失敗から立ち直らせる声かけ

  • 「この経験から何が学べるかな?」
  • 「次にどうすればうまくいくと思う?」
  • 「難しいことに挑戦したんだね」
  • 「この失敗が、将来きっと活きてくるよ」

【テストで低い点を取ってきたとき】

NG:「なんでこんな点数なの!もっと勉強しなさい」

OK:「どこが難しかった?一緒に見てみようか」→「ここまでは理解できてたんだね。この部分だけ練習しよう」

中学生(13〜15歳)に効果的な声かけ

思春期で親を避けがちになる時期。しかし、この時期の関わり方がその後に大きく影響します。

距離感を保ちながら関わる声かけ

  • 「何か手伝えることあったら言って」(押しつけない)
  • 「最近どう?」(シンプルに問いかける)
  • 「何でも話してくれて嬉しいよ」(話を促す)

受験プレッシャーを和らげる声かけ

  • 「頑張ってるの、わかるよ」
  • 「結果より、取り組み方が大事だよ」
  • 「あなたなら大丈夫、いつも一緒だよ」

子どもが悩んだり辛い思いをしたりしているとき、「今、あなたが不安に思っていること、負担だと考えていることを全部ここに書いてみよう」と声をかけることも有効です。漠然と「がんばりなさい」「きっと大丈夫」とありきたりな励ましを受けるよりも、具体的に不安や悩みを聞いてもらえることで、子どもは親に共感された、理解してもらえたと安心し、それだけで回復が早まるケースは少なくありません。

「グロースマインドセット」を育てる声かけの科学

脳の可塑性と言葉の力

近年の神経科学の研究により、脳は生涯にわたって変化し続けることが明らかになっています。これを「神経可塑性(しんけいかそせい)」と呼びます。

子どもの脳は特に変化しやすく、親の声かけによって形成されるシナプス(神経細胞同士の接続)のパターンが、思考のクセや学習への態度を形成します。

スタンフォード大学のドゥエック教授が提唱したグロースマインドセット(成長マインドセット)は、この神経可塑性の考え方と深く結びついています。

グロースマインドセットとは、「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できる」という考え方です。

この考え方を持つ子どもと、「才能は生まれつき決まる」というフィックストマインドセット(固定マインドセット)を持つ子どもでは、以下のような違いが生まれます。

場面グロースマインドセットの子どもフィックストマインドセットの子ども
難しい問題に直面「考えれば解けるかも」と挑戦「自分には無理」と諦める
失敗したとき「どこを直せばいい?」と考える「自分はダメだ」と落ち込む
他の子の成功を見て「自分も頑張ろう」と刺激を受ける「あの子には敵わない」と嫉妬
努力について「努力すれば伸びる」と信じる「努力しても変わらない」と思う
批判を受けたとき「参考にしよう」と受け入れる「攻撃された」と防衛する

グロースマインドセットを育てる3つの声かけパターン

パターン1:「まだ」という言葉を使う

「できない」という事実を認めながら、可能性を開く声かけです。

  • 「まだできないね。でも、練習したらきっとできるよ」
  • 「今は難しいね。でも、やってみようか」
  • 「今はわからないね。調べてみようか」

パターン2:学習のプロセスに注目する

  • 「今日何を学んだ?」
  • 「どんな方法を試してみた?」
  • 「難しかったところをどう乗り越えた?」

パターン3:脳の成長を伝える

  • 「難しいことを考えると、脳が強くなるんだよ」
  • 「練習するたびに、脳の新しい回路が作られるんだよ」
  • 「失敗するたびに、脳が賢くなっていくんだよ」

【グロースマインドセットを育てる声かけの日常例】

算数でわからない問題があったとき:

「この問題、難しいよね。でも、あなたの脳はこういう難しい問題と格闘するたびに強くなるよ。さあ、どこでつまずいてる?」

EQ(心の知能指数)と学力の関係

将来的な学力、年収、持ち家率の高さにつながったのは、EQの高さでした。つまり、学力を伸ばす「土台」がEQなのです。そして、このEQを育むカギが、親が子どもの話をよく聞き、存在を認めることにあります。

EQ(EmotionalQuotient=感情的知性)は、IQ(知能指数)と並んで、長期的な成功を左右する重要な能力です。

EQを育てる声かけのポイントは以下のとおりです。

  • 感情に名前をつける:「悔しかったんだね」「嬉しそうだね」
  • 共感を示す:「そう感じるのは当然だよ」
  • 感情を否定しない:「泣かないで」ではなく「悲しいよね」
  • 自分の感情も伝える:「お父さんも嬉しいよ」

努力を褒められた子どもは「努力が足りなかっただけだ」と考え、さらに頑張るようになったのです。やり抜く力やチャレンジ精神といったEQの伸びに、ほめ方の違いが大きく影響します。

東大生の親が実践していた「日常の声かけ習慣」

食事の時間を「会話の時間」にする

東大生の家庭に共通する習慣の一つが、食事の時間を大切にしていたことです。

特に効果的な食事中の会話パターンとして知られているのが、「ハイ・ロウ」トークです。

  • 「今日一番よかったことは?」(High)
  • 「今日一番大変だったことは?」(Low)

この二つの質問を毎日繰り返すだけで、子どもは自分の1日を振り返り、言語化する習慣が身につきます。さらに、親子のコミュニケーションが深まります。

【食事中の会話:NGとOKの比較】

NG:「今日学校どうだった?」→「普通」で終わる

OK:「今日で一番おもしろかった授業は何?なんでそれが面白かったの?」→会話が広がる

ニュースを一緒に見て考える習慣

頭のいい子が育つ家庭は、自然と親子でニュースに触れている家庭が多いです。今後の大学入試の傾向を踏まえても、ぜひ実践してほしいことがあります。

ニュースを見た後に「これについてどう思う?」と問いかけるだけで、批判的思考力(クリティカルシンキング)が育ちます。大切なのは親が答えを教えるのではなく、子どもが自分で考える機会を与えることです。

  • 「この問題、どうしたらいいと思う?」
  • 「もし自分がその立場だったら?」
  • 「なぜこんなことが起きたと思う?」

読書について語り合う習慣

プレジデント社が2016年に発表した現役東大生174人の小学生時代に関する調査結果によると、東大生たちの親の6割が大人になっても勉強していた(いる)のだそうです。

親自身が本を読む姿を見せることが、子どもの読書習慣につながります。さらに効果的なのが、同じ本を読んで感想を語り合うことです。

  • 「この本の主人公、どう思った?」
  • 「一番印象に残ったシーンは?」
  • 「この本から何か学べることはある?」

就寝前の「今日の振り返り」タイム

寝る前の5〜10分を、子どもとの対話の時間にします。この時間に親子で1日を振り返ることで、内省力と自己認識力が育まれます。

  • 「今日一番頑張ったことは?」
  • 「明日やってみたいことはある?」
  • 「今日、誰かに優しくできた?」
  • 「今日の自分に100点満点で何点?なぜ?」

就寝前の穏やかな会話は、子どもの精神的安定にも大きく貢献します。

親自身が学ぶ姿を見せる

これは声かけではなく、「背中で見せる」教育です。

語学や資格の勉強をしたり専門書を読んだりして、大人になっても知的好奇心を持ち続け向学心を失わない姿勢を子どもに見せることは、子どもの勉強意欲を大いに刺激するものだと言えそうです。

親が本を読んでいる、何か勉強している——その姿が、「大人になっても学び続けることが当たり前」という価値観を自然に子どもに伝えます。

特別なシーン別・声かけの実践ガイド

受験前の不安を抱えている子どもへの声かけ

受験期は子どもにとって最もプレッシャーが高まる時期です。この時期の声かけが、子どもの精神状態を大きく左右します。

やってはいけない声かけ

  • 「落ちたらどうするの」
  • 「もっと頑張らないとダメ」
  • 「あの学校に落ちたら終わりだよ」
  • 「結果が全てだよ」

効果的な声かけ

  • 「ここまで頑張ってきたね」(努力を認める)
  • 「全力を尽くせば、それでいいよ」(結果への執着を手放す)
  • 「どんな結果になっても、あなたの価値は変わらない」(存在の肯定)
  • 「一緒に考えようか。今一番心配なことは?」(不安を言語化させる)

子どもが落ち込んでいるときの声かけ

メンタルの不調を解消するためには、まず「子どもの生活リズムを整えること」に努めていた家庭が多かったです。朝起きて日光を浴び、夜はしっかり眠る。子どもがメンタル面で不調を訴えた時こそ、このサイクルを重視していた家庭が多かったのです。

また、漠然と「がんばりなさい」「きっと大丈夫」とありきたりな励ましを受けるよりも、具体的に不安や悩みを聞いてもらえることで、子どもは親に共感された、理解してもらえたと安心し、それだけで回復が早まるケースは少なくありません。

落ち込んでいるときの声かけステップ

  1. まず言葉ではなく「寄り添う」(隣に座るだけでもOK)
  2. 「何があったか、話せる?」(強制しない)
  3. 話してくれたら「それは大変だったね」(共感)
  4. 「どうしたい?」(本人の意志を尊重)
  5. 「何か手伝えることある?」(具体的なサポートを申し出る)

兄弟姉妹を比べたくなったときの対処法

兄弟姉妹がいると、つい比べてしまいがちです。しかし、比較は百害あって一利なしです。

比較したくなったときのリフレーミング(視点の転換)

「お兄ちゃんはできるのに」→「あなたは何が得意?」「妹より勉強しなくて」→「前より成長したこと、何かある?」「お姉ちゃんはいつも早いのに」→「あなたのペースで進んでいこうか」

それぞれの子どもを「別の個性を持つ一人の人間」として見る。この視点こそが、比較のない関わり方の出発点です。

今日から実践できる「声かけ改善」5ステップ

ステップ1:1週間、自分の声かけを記録する

まず自分がどんな声かけをしているかを把握します。スマホのメモアプリなどに、子どもへの声かけを記録してみましょう。1週間後に振り返ると、パターンが見えてきます。

ステップ2:NGな声かけを一つ選んで変える

すべてを一度に変えようとすると続きません。まず一つだけ、よく使うNGな声かけを選びます。そしてその代わりに使うOKな声かけを決めておきます。

例:「勉強しなさい」→「今日学校で何が一番面白かった?」

ステップ3:「聴く時間」を毎日5分確保する

スマホを置いて、子どもの話を5分だけ聴く時間を作ります。食事中でも、就寝前でも構いません。大切なのは、「ながら聴き」ではなく、完全に子どもと向き合う時間を作ることです。

ステップ4:褒めるとき「具体的に」を意識する

「すごいね」ではなく「この部分がこういう理由で良かった」という具体性を意識します。最初は難しく感じても、意識的に続けると習慣になります。

例:「上手だね」→「このシーンの色の使い方、工夫したんだね。どんなことを考えながら描いたの?」

ステップ5:失敗を「学びの機会」と声に出して伝える

子どもが失敗したとき、意識的に「これは学べるチャンスだ」という姿勢を言葉にします。親自身が失敗したときも同様です。

「お母さんもこれ失敗したことあるよ。そのとき〇〇ということを学んだな」と話すことで、失敗への向き合い方のモデルを示せます。

【声かけ改善チェックリスト】

□「勉強しなさい」を減らしている

□スマホを置いて子どもの話を聴いている

□努力とプロセスを具体的に褒めている

□他の子どもとの比較をしていない

□失敗したときに過程を認める声かけをしている

□「どう思う?」という質問をしている

□子どもの存在を無条件に認める言葉をかけている

「頭のいい子」の親がやっている声かけは特別なことではない

ここまで読んでいただいて、気づかれた方も多いと思います。

「頭のいい子」の親がやっている声かけは、実は特別なテクニックではないということです。

東大生の親が実践していたのは、以下のシンプルな姿勢でした。

  • 子どもの話を心から聴く
  • 努力とプロセスを認める
  • 失敗を恐れない環境を作る
  • 子どもの存在を無条件に肯定する
  • 自分自身も学び続ける姿を見せる

東大生の親の口癖から見えてくるのは、「子どもの存在を丸ごと肯定する」という一貫した姿勢です。

これは、高価な塾や教材がなくてもできることです。むしろ、毎日の言葉の積み重ねこそが、子どもの学ぶ力の土台を作ります。

今日から一つだけ、変えてみてください。「勉強しなさい」の代わりに「今日どんなことを学んだ?」と聞いてみる。それだけで、子どもとの会話が少しずつ変わっていきます。

声かけは日々の積み重ねです。完璧を目指す必要はありません。「昨日より一つだけ良い声かけをしよう」というグロースマインドセットで、今日から始めてみましょう。

子どもの学力の土台は、家庭での言葉から育ちます。そしてその言葉を変える力は、今この瞬間から、親御さん自身の中にあります。

よくある質問(Q&A)

Q:声かけを変えたいけど、長年の習慣があり難しいです。どうすれば続きますか?

一度に全部変えようとする必要はありません。まず「一つだけ」を選んで集中して変えましょう。1週間で一つの声かけを変えられれば、1年で52個変えられます。子育てはマラソンです。急がず、一歩ずつ進んでください。

Q:子どもが全く話してくれません。どうすればいいですか?

まず「話しやすい環境」を作ることから始めましょう。横並びで話す(車の中、並んで歩きながら)と、目を合わせずに話しやすくなります。また、親自身が先に自分の話をすると(自己開示)、子どもも話しやすくなります。「今日こんなことがあってね」と親が日常を話すことから始めてみてください。

Q:褒めすぎも良くないと聞きますが、どこまで褒めていいですか?

「存在への褒め」は何度でも構いません。「能力への褒め」(頭がいい、才能があるなど)は避け、「努力・プロセスへの褒め」(頑張ったね、工夫したね)を心がけましょう。また、褒めるときは具体性が大切です。「すごい」だけでなく「この部分がこういう理由で良かった」と伝えましょう。

Q:叱ることは全くダメですか?

叱ること自体は問題ありません。子どもが約束を破った、他人を傷つけたといった問題を起こした場合には、きちんと叱る必要があります。ただし、叱るのは「行動」に対してであり、「存在」を否定しないことが大切です。「あなたはダメな子ね」ではなく「その行動は良くなかった」という伝え方を意識しましょう。

Q:忙しくて、子どもとゆっくり話す時間が取れません。

「時間の長さ」より「質」が大切です。1日10分でも、スマホを置いて子どもと向き合う時間をつくりましょう。寝る前の絵本タイムや、一緒にお風呂に入る時間など、習慣化すると続けやすくなります。通学の送り迎え、食器を洗う時間など、既存の時間を「子どもとの対話の時間」に変えることから始めてみてください。

参考データまとめ:東大生と親の声かけに関する主要調査

調査内容結果出典
親が話をよく聞いてくれたか(東大生自身の回答)96%が「YES」EQWELチャイルドアカデミー調査
親の話を聞く習慣(東大生へのアンケート)90%が確認川島隆太教授調査(プレジデントFamily)
東大生の親の学習習慣6割が大人になっても勉強プレジデント社・東大生174人調査(2016年)
勉強が好きになった子の理由トップ76.1%「新しいことを知るのが嬉しいから」東大社研×ベネッセ親子調査
勉強が嫌いなままの子の理由トップ51.3%「先生や親に叱られたくないから」東大社研×ベネッセ親子調査
努力vs能力を褒めた実験(ドゥエック)努力を褒めた子の9割が難問に挑戦スタンフォード大学心理学研究

声かけが子どもの未来を変える

「頭のいい子」の親がやっている声かけについて、データと具体例を交えながら解説してきました。

東大生100人への調査が示すのは、学力の高い子どもを育てるうえで最も重要なのは、毎日の言葉の積み重ねだということです。

特に重要なポイントをまとめます。

  • 子どもの話を「聴く」ことが、学力向上の最大の土台
  • 「頭がいいね」より「頑張ったね」が、学力を伸ばす
  • 失敗したときこそ「過程を認める」声かけが大切
  • 「勉強しなさい」の代わりに「今日何を学んだ?」という質問を
  • 子どもの存在を無条件に肯定する言葉が自己肯定感の土台を作る

グロースマインドセット研究が示すように、能力をほめる代わりに、努力やプロセスを具体的にほめることで、子どものマインドセットがしなやかになり、失敗を恐れずに挑戦することを楽しめるようになります。

今日から実践を始めてください。完璧でなくて構いません。一つだけ声かけを変えてみること——それが、子どもの未来を変える第一歩です。

どんな声かけが子どもに届いているか、明日から少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。

  • URLをコピーしました!
目次