不登校の小学生に親ができることは?原因の見つけ方と家庭での接し方を専門家が解説

「朝になると急にお腹が痛い」「学校に行きたくない」——そんなわが子の言葉に、どう向き合えばよいか迷っている親御さんは少なくありません。文部科学省の調査によると、2022年度の小学校における不登校児童数は10万5,112人(前年度比約24%増)と過去最多を更新しました。

つまり、不登校はもはや特別なことではなく、どの家庭でも起こりうる身近な問題です。本記事では、不登校の小学生に親ができることを、原因の見つけ方から家庭での具体的な接し方まで、専門家の知見をもとに詳しく解説します。

「どうしてうちの子が?」という疑問から「今日から何をすればいい?」という実践まで、これ一本で網羅的に理解できる内容を目指しました。

目次

不登校の小学生に親ができることを理解する前に知っておきたい基礎知識

不登校の定義とは何か

文部科学省は不登校を、「病気や経済的理由を除き、年間30日以上欠席した状態」と定義しています。ただし、現場の支援者や専門家の間では、登校しぶり(行きたがらない状態)の段階から早期対応の重要性が強調されています。つまり、「まだ30日に達していないから大丈夫」と安心するのは危険です。

小学生の不登校の現状と推移

近年、小学生の不登校は急増しています。以下の表は、文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」のデータです。

年度小学校不登校児童数前年度比
2018年度44,841人+11.8%
2019年度53,350人+18.9%
2020年度63,350人+18.7%
2021年度81,498人+28.6%
2022年度105,112人+29.0%

この急増の背景には、コロナ禍の影響による登校習慣の乱れ、学習の遅れへの不安、人間関係の希薄化などが挙げられています。

不登校は「甘え」なのか

不登校の子どもを持つ親御さんが最も気になるのが「甘え」という言葉です。しかし、専門家はこれを否定しています。不登校の多くは、強いストレスや不安が身体症状として現れる「心身の限界サイン」であり、意図的なわがままではありません。

神経科学の観点からも、慢性的なストレス状態では扁桃体(感情を司る脳部位)が過活性化し、前頭前野(論理的思考・判断の部位)の機能が低下することが分かっています。この状態では「頑張って学校に行く」という意思的な行動が、脳のメカニズム上非常に困難になります。親御さんがまず理解すべきは、子どもが「行けない」のであって「行かない」のではない、という認識の転換です。

不登校の小学生に多い原因——7つのカテゴリで徹底解説

不登校の原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。文部科学省の調査では「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「学業の不振」「家庭に係る状況」が主な要因として挙げられています。ここでは、小学生に特有の7つのカテゴリに分けて解説します。

1. 対人関係・いじめに関連する原因

小学生は社会性を急速に発達させる時期です。友達との些細なトラブルでも、子どもにとっては深刻なダメージになることがあります。特に以下のような状況が引き金になりやすいです。

  • 仲間外れや無視などの関係性いじめ
  • 悪口や陰口などの言語的いじめ
  • グループからの排除
  • SNSや連絡ツールでのトラブル(高学年に多い)
  • 固定化したグループに馴染めない孤立感

最近は「いじめ」と認識されていないグレーゾーンのトラブルが増えており、子ども自身も「いじめられている」と言えないケースが多いです。親が気づくためには、子どもの言葉の変化より行動の変化に着目することが重要です。

2. 学習面・勉強に関連する原因

小学校3〜4年生頃から学習内容が急に難しくなります。この「小4の壁」と呼ばれる時期に、学力への自信を失う子どもが増えます。

  • テストの点数が下がり、自己効力感(やればできるという感覚)が低下する
  • 授業についていけないことへの恥ずかしさ・焦り
  • 宿題が多すぎてこなせないプレッシャー
  • 学習障害(LD)や注意欠如多動症(ADHD)などの発達特性が未発見のまま困難を抱えている

発達特性を持つ子どもの不登校は、適切な支援なしには根本解決が難しいことが多いです。専門家への相談や学校との連携が特に重要になります。

3. 先生との関係性に関連する原因

子どもにとって担任の先生は非常に大きな存在です。先生との関係がうまくいっていないと、学校全体が「怖い場所」になってしまいます。

  • 先生の言葉や態度に傷ついた体験
  • 叱られることへの強い恐れ
  • 先生が怖い・厳しすぎると感じている
  • 先生に信頼してもらえていないという感覚

「先生が嫌い」という言葉の裏に、深いトラウマ体験が隠れていることもあります。子どもの言葉を否定せず、どんな場面でそう感じたのかを丁寧に聞き出すことが大切です。

4. 家庭環境に関連する原因

家庭環境の変化も不登校の大きなきっかけになります。子どもは家庭の空気を敏感に感じ取っています。

  • 両親の不仲・離婚・別居
  • きょうだいの誕生や親族の死亡などの家族構成の変化
  • 引越し・転校による環境の激変
  • 親の仕事の多忙化による情緒的サポートの不足
  • 過度な期待やプレッシャーをかける養育スタイル

「家に居たい」という気持ちの背景には、学校への拒否だけでなく、家族とのつながりを求める愛着欲求が含まれていることも多いです。

5. 身体的な原因・起立性調節障害

朝になると頭痛や腹痛、めまいが起きる場合、「起立性調節障害(OD)」の可能性があります。これは自律神経の機能不全によって、朝の起き上がりが極めて困難になる身体疾患です。

  • 午前中に症状が強く、午後には回復する
  • 学校のある日だけ症状が出るわけではなく、休日も影響がある
  • 横になると楽になる
  • 怠けているように見えるが、本人は本当に動けない状態

起立性調節障害は小学校高学年〜中学生に多く、適切な医療対応が必要です。「気のせい」「気合いが足りない」と言うことは絶対に避けてください。症状を悪化させる可能性があります。

6. 発達特性・精神的な要因

近年、不登校の背景に発達特性が関係しているケースが増えています。

  • 自閉スペクトラム症(ASD):社会的なルールの理解困難、感覚過敏(騒音・匂い・触覚など)
  • 注意欠如多動症(ADHD):授業中じっとしていられない、忘れ物が多い
  • 学習障害(LD):読み書きの困難、計算のつまずき
  • 場面緘黙(かんもく):特定の場面で声が出なくなる

これらの特性は、適切な支援があれば本人の強みを活かせるようになります。早期発見・早期支援のために、専門機関への相談を躊躇しないことが重要です。

7. コロナ禍・社会的な変化の影響

2020年以降のコロナ禍は、子どもたちの学校生活に大きな打撃を与えました。

  • 長期休校による登校習慣・生活リズムの崩壊
  • マスク生活による表情読み取りの困難
  • 友達との交流機会の大幅な減少
  • オンライン授業への移行による学習の質の変化

コロナ禍を経た子どもたちは、社会的スキルを学ぶ機会を失った状態で学校生活に再適応しなければならない困難を抱えています。この背景を理解したうえで、子どもの状況を評価することが求められます。

不登校の原因の見つけ方——親が実践できる5つのアプローチ

原因が分からないまま対応するのは、暗闇の中を歩くようなものです。ここでは、親御さんが家庭で実践できる原因の見つけ方を紹介します。

アプローチ1:子どもの言葉より行動・身体サインに注目する

不登校の初期段階では、子どもは言葉で原因を説明できないことがほとんどです。代わりに、身体や行動にサインが現れます。

以下のチェックリストを参考にしてください。

身体のサイン

  • 朝になると腹痛・頭痛・吐き気がある
  • 夜眠れない・夜中に目が覚める
  • 食欲がない・急に食欲が増える
  • 顔色が悪い・疲れた様子がいつも続いている

行動のサイン

  • 学校の話題を避けるようになった
  • 連絡帳やランドセルを見ようとしない
  • テレビやゲームへの依存が増えた
  • 急に親から離れたがらなくなった(退行現象)

感情のサイン

  • 些細なことで泣く・怒る
  • 「死にたい」「消えたい」などの言葉が出る
  • 表情が乏しくなった
  • 以前好きだったことへの興味を失った

一つでも当てはまる場合は、早めに専門家への相談を検討してください。

アプローチ2:聴く力を高める——安全な対話の作り方

子どもが話してくれるかどうかは、親が「聴く姿勢」を持っているかどうかにかかっています。以下の対話ガイドラインを参考にしてください。

やってはいけないこと

  • 「なんで学校に行けないの?」と詰問する
  • 「みんなは行ってるのに」と比較する
  • 「そんなことで」と子どもの悩みを軽視する
  • すぐに解決策を提示しようとする

やるべきこと

  • 「そうか、そういう気持ちがあるんだね」と受け止める(オープン・リフレクション)
  • 子どもが話し終わるまで口をはさまない
  • 「もう少し教えてくれる?」と促す開かれた質問を使う
  • 子どもの気持ちを言語化する手助けをする(「悲しかった?それとも怖かった?」)

具体例:子どもが「学校に行きたくない」と言った場合。NG:「なんで?理由を言いなさい」OK:「そっか、行きたくない気持ちがあるんだね。どんなときにそう感じる?」

この一言の違いが、子どもが心を開くかどうかの分岐点になります。

アプローチ3:学校・担任との連携で情報を収集する

家庭での観察だけでは見えない部分を、学校側から補完することが重要です。担任の先生に以下の情報を確認しましょう。

  • 休む直前の授業や行事で何かあったか
  • クラスでの人間関係の様子
  • 授業中の集中力・参加度
  • 給食や休み時間の過ごし方
  • 体育・音楽・図工など特定の授業を嫌がっていないか

学校との連絡は電話より面談形式が望ましいです。メモを取りながら話すことで、後から振り返ることができます。また、担任以外にスクールカウンセラーや養護教諭(保健室の先生)からも情報を得ることで、より立体的な状況把握が可能です。

アプローチ4:専門家に相談する——適切な相談先の選び方

一人で抱え込まず、専門家に相談することが状況改善への近道です。相談先は状況に応じて選びましょう。

相談先特徴適した状況
スクールカウンセラー学校内で相談できるまず学校との連携を深めたい
教育相談センター無料・予約不要が多い教育的観点からのアドバイスが欲しい
児童精神科・小児科医療的診断・治療が可能身体症状・発達特性の疑いがある
児童相談所家庭環境の問題も扱える家庭の課題も絡んでいる場合
民間のカウンセラー柔軟な対応継続的なカウンセリングを希望する
NPO・支援団体当事者家族のサポートも充実同じ経験を持つ親と繋がりたい

相談することは「負け」ではありません。早期相談が早期解決につながるという認識を持つことが大切です。

アプローチ5:記録をつけて変化を可視化する

子どもの状態は日々変化します。記録をつけることで、改善の傾向や悪化のパターンを把握しやすくなります。

記録する内容の例:

  • 起床・就寝時間
  • 食欲・食事量
  • 身体症状の有無(腹痛・頭痛など)
  • 機嫌・感情の様子
  • 外出できたか・何をして過ごしたか
  • 学校に関して何か話したか

日記形式でなくても、スマートフォンのメモアプリで簡単に記録するだけで十分です。専門家に相談する際に、この記録が具体的な情報として役立ちます。

家庭での接し方——今日からできる10の実践的アドバイス

原因が分かったら、次は具体的な接し方です。専門家が推奨する家庭でのアプローチを10のポイントで解説します。

1. 「登校させること」を最優先にしない

多くの親御さんが「どうやったら学校に行かせられるか」を最初に考えます。しかし、専門家の見解は異なります。

最優先すべきは「子どもが安心できる環境を作ること」です。安心感が育まれることで、子ども自身が「もう少し前に進んでみよう」と思えるようになります。「学校に行く」はその先にある自然な結果です。

2. 生活リズムを整える(でも無理強いはしない)

不登校の子どもは昼夜逆転や食事の乱れが起きやすいです。だからといって強制的に「6時に起きなさい」と言っても逆効果です。

穏やかなアプローチとして、以下を試してみてください。

  • 朝、カーテンを少し開けて光を入れる(体内時計のリセット)
  • 「何時に起きる?」と子どもに聞いて自分で決めさせる
  • 食事の時間だけは家族で一緒に座るようにする
  • 夜のスマホ・ゲームは家族全員でルールを決める

生活リズムを整えることは、脳と身体の回復に直結する重要な支援です。

3. 「学校以外の居場所」を一緒に見つける

学校に行けない間も、子どもの成長は続きます。学校だけが学びや友人関係の場ではありません。

学校以外の居場所の選択肢

  • フリースクール(少人数制・個別対応)
  • 放課後デイサービス(発達特性がある場合)
  • 習い事(スポーツ・音楽・アート)
  • 図書館・公民館の読書スペース
  • 家庭教師・オンライン塾
  • 不登校の子どもを対象としたコミュニティ活動

居場所は「学校の代わり」ではなく、子どもが「自分には行ける場所がある」と感じるための安心材料です。

4. 親自身のケアを忘れない

不登校の子どもを持つ親御さんは、精神的な消耗が激しくなりがちです。疲弊した親が子どもの支えになることは難しいです。

自分自身のケアのために:

  • 同じ経験を持つ親のコミュニティ(ペアレントグループ)に参加する
  • カウンセラーや相談員に自分の気持ちを吐き出す
  • 「学校に行けない=子育ての失敗」という思い込みを手放す
  • 信頼できるパートナーや家族と情報と感情を共有する

親が自分を大切にすることが、子どもを守ることにつながります。

5. 子どもの「できていること」に注目する

不登校の期間中も、子どもはさまざまなことを経験し、成長しています。「学校に行けていない」という事実だけを見るのではなく、子どもの日常の中にある「できていること」に目を向けましょう。

「今日、自分でご飯食べたね」「昨日より少し早く起きられたね」「弟に優しくしてたね」

こうした小さな承認が積み重なることで、子どもの自己肯定感は少しずつ回復します。

6. 「二次障害」に注意する

不登校が長期化すると、うつ状態や不安障害などの「二次障害」が現れることがあります。二次障害は適切な対応がなければ、回復をさらに難しくします。

以下のサインに気づいたら、すぐに専門家に相談してください。

  • 「死にたい」「消えたい」という言葉が出る
  • 自傷行為(自分を傷つける)が見られる
  • 食事をほとんど食べない・極端に食べ続ける
  • 部屋から一切出なくなる
  • 親とのコミュニケーションが完全に途絶える

これらは緊急サインです。子どもだけでなく、家族も含めた専門的サポートが必要です。

7. 兄弟・姉妹への配慮を忘れない

不登校の子どもへの対応に集中するあまり、兄弟姉妹への関わりが薄くなることがあります。しかし、兄弟姉妹も影響を受けています。

  • 「なんであの子だけ家にいていいの」という不公平感
  • 親がピリピリしていることへの不安
  • 不登校の子どもへの心配や罪悪感(「自分のせいかも」と思う子もいる)

兄弟姉妹とも一対一の時間を意図的に作り、「あなたのことも大切に思っている」というメッセージを伝えることが大切です。

8. 長期的な視点を持つ

不登校の回復は直線的ではありません。良くなったと思ったら後退する、という繰り返しの中で少しずつ進んでいきます。

回復の一般的なプロセス:「混乱期(何もできない)」→「安定期(家で過ごせる)」→「活動期(外に出られる)」→「社会復帰期(学校・社会に戻る)」

焦りや不安から「早く学校に戻ってほしい」というプレッシャーをかけてしまうと、子どもは回復のプロセスを中断させられる感覚を持ちます。長期的な視点を持ち、「今日の安心」を積み重ねることに集中しましょう。

9. 学習の遅れへの対処法

学校を休んでいる間の学習の遅れは、多くの親御さんの不安の一つです。しかし、焦って学習を強制することは逆効果になることが多いです。

段階的な学習サポートの方法

  • まずは子どもが興味を持てる本や映像を日常に取り入れる
  • 教科書ではなく、子どもが好きなテーマからアプローチする
  • 家庭教師やオンライン教材は「勉強」ではなく「会話の相手」として使う
  • 学校の担任に宿題の量や内容の調整を依頼する

文科省の通達により、フリースクール等での学習や自宅学習も出席扱いにすることが可能になっています。校長の判断で認められる制度を積極的に活用しましょう。

10. 学校復帰だけをゴールにしない

専門家の間では、「学校復帰を唯一のゴールとしないこと」が強調されています。不登校支援の目標は「子どもが自分らしく生きられること」です。

学校に戻ることが一番の解決策とは限りません。フリースクールへの転籍、転校、ホームスクーリング、通信制への切り替えなど、さまざまな選択肢があります。重要なのは、子どもの意見を尊重しながら、本人が「前に進める」と思える道を一緒に探すことです。

不登校支援における専門家の最新知見と注目アプローチ

ポリヴェーガル理論から見る不登校

近年、神経科学的アプローチとして注目されているのがポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)です。スティーブン・ポージェス博士が提唱したこの理論は、人間の自律神経系の3つの状態を説明しています。

  • 安全状態(腹側迷走神経):社会的な交流が可能・学習できる状態
  • 闘争・逃走状態(交感神経):危険を感じてパニック・怒りになる状態
  • 凍りつき状態(背側迷走神経):動けない・無気力・シャットダウンの状態

不登校の多くの子どもは、学校という環境に対して「危険」のシグナルを感知しており、慢性的に闘争・逃走状態か凍りつき状態にあります。この状態では、どれだけ励ましても「安全状態」には戻れません。

親ができることは、まず家庭を「安全な場所」として体験させることです。批判・叱責・プレッシャーのない環境で、子どもの神経系が安全を学び直すプロセスが回復の基盤になります。

アタッチメント(愛着)理論の視点

不登校の背景に愛着(アタッチメント)の問題が関係していることがあります。安定した愛着を持つ子どもは、困難な状況でも「戻れる安全基地」があると感じられます。

逆に、愛着に不安を抱える子どもは、外の世界への冒険(登校)が怖く感じられることがあります。

親御さんができることは:

  • 子どもが求めるときにそこにいる(利用可能性)
  • 子どもの感情に敏感に応答する(応答性)
  • 子どもに安心感を与える(一貫性)

これらは、過干渉とは異なります。子どもの気持ちに寄り添いながら、自立を見守る関係性が理想です。

レジリエンス(回復力)を育む関わり方

最近の研究では、不登校を経験した子どもでも、適切なサポートがあれば高いレジリエンス(困難から立ち直る力)を発達させることが明らかになっています。

レジリエンスを育む関わり方の要素:

  • 「失敗しても大丈夫」というメッセージを繰り返す
  • 小さな挑戦を応援し、結果よりプロセスをほめる
  • 子どもが自分で考え決める経験を積ませる
  • 子どもの話を最後まで聞く姿勢を保つ

不登校は「子どもの人生の失敗」ではありません。困難を乗り越える力を育む貴重な時間になりうることを、親御さんに知っていただきたいと思います。

学校・行政・支援機関との連携の取り方

学校との上手な連携方法

学校側との関係は、協力関係を築くことが理想です。以下のポイントを意識してみてください。

  • 休む際は「欠席届」だけでなく、簡単な近況報告を加える
  • 担任だけでなく、スクールカウンセラーや管理職とも連絡を取る
  • 「どうすれば学校に来させられますか?」ではなく「何があれば子どもが安心できますか?」という視点で相談する
  • 別室登校・保健室登校・分散登校などの段階的な復帰策を提案・相談する

学校側も「どう対応すべきか分からない」と困っているケースが多いです。親と学校が対立関係にならないよう、「子どものために一緒に考えるチーム」という関係性を意識しましょう。

活用できる公的支援制度

支援制度内容問い合わせ先
教育支援センター(適応指導教室)不登校の子どもが通える公立の施設市区町村教育委員会
スクールソーシャルワーカー家庭・学校・関係機関の橋渡し学校または教育委員会
発達障害者支援センター発達特性への専門相談都道府県・指定都市
子ども・若者総合相談センター幅広い相談に対応市区町村
不登校特例校不登校経験者のための特別課程文部科学省ウェブサイト
夜間中学学習機会の保障市区町村教育委員会

これらの制度は「知らないと使えない」ものがほとんどです。地域の教育相談窓口に一度問い合わせることで、自分の家庭に合った支援を見つけやすくなります。

フリースクールの選び方

フリースクールは種類・方針・費用もさまざまです。選ぶ際の基準として以下を確認しましょう。

  • 子どもが安心できる人数規模か(少人数を好む子・集団を楽しめる子で違う)
  • スタッフの専門性・経験値
  • 通学の負担(場所・交通手段)
  • 費用(月額2〜8万円程度が相場)
  • 出席認定の可否
  • 体験入室ができるか

一度体験に行って、子ども本人が「ここなら来られる」と感じるかどうかが最も重要な指標です。

不登校の小学生に親ができることの総まとめ——今日から実践する5ステップ

不登校の小学生に親ができることは、焦って「学校に戻す」ことではありません。子どもの安心を守りながら、根本的な原因に向き合うプロセスが必要です。

ここでは、今日から実践できる5つのステップを整理します。

ステップ1:子どもを責めず、まず「受け止める」「学校に行けないのはあなたのせいではない」というメッセージを言葉と態度で伝えてください。子どもが「親は自分の味方だ」と感じることが、回復の第一歩になります。

ステップ2:原因を探る——観察・対話・連携子どもの身体・行動・感情の変化を丁寧に観察し、学校・専門家と連携して原因の仮説を立てましょう。一人で抱え込まず、早期に専門家に相談することが重要です。

ステップ3:家庭を「安全基地」にする批判・比較・プレッシャーをなくし、子どもが家で安心して過ごせる環境を整えましょう。生活リズムの維持、食事、睡眠など基本的な生活の安定が回復の土台です。

ステップ4:学校以外の選択肢を探るフリースクール、オンライン学習、習い事など、子どもが「行ける・続けられる場所」を探しましょう。学校だけが子どもの居場所ではありません。

ステップ5:長期的な視点で支え続ける回復は一進一退を繰り返しながら進みます。「今日の小さな一歩」を認め、子どものペースに合わせて伴走し続けることが、最も力強い親のサポートです。

不登校は終わりのないトンネルではありません。適切な支援と安心できる環境があれば、子どもは必ず前に進む力を持っています。親御さん自身も専門家や支援者と連携しながら、「一人で戦わない」姿勢で取り組んでいただければと思います。

参考情報源

  • 文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
  • 国立教育政策研究所「不登校の要因・背景に関する研究」
  • 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)の診断・治療ガイドライン」
  • ポリヴェーガル理論(StephenW.Porges,2011,ThePolyvagalTheory)
  • 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」2019年
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