漫画シャドウレイヤー第1話「境界線の向こう側」

ジャンル:サスペンス × ファンタジー
設定
世界観:現代の東京。ただし、ごく一部の人間だけが「影の世界(シャドウ・レイヤー)」と呼ばれる、現実と重なり合うもう一つの次元を知覚できる。そこには人間の強い感情から生まれた「残響(エコー)」と呼ばれる存在がさまよっている。
主要キャラクター
黒崎灯(くろさきあかり)・17歳・女子高生
幼い頃から「見えないものが見える」と周囲に言って孤立してきた少女。無表情で口数が少ないが、根は優しい。左目だけが金色に光ることがあり、それが「影の世界」を見る力の源。
白神蓮(しらかみれん)・年齢不詳の青年
影の世界の住人を自称する、飄々とした謎の男。常に黒いコートを着ており、笑顔を絶やさないが、その目は笑っていない。
第1話「私だけが見える世界」
シーン1:冒頭 — 夜の渋谷スクランブル交差点
大勢の人が行き交う交差点。雨が降っている。灯がイヤホンをして一人で歩いている。
モノローグ(灯):
「私の左目は、壊れている。――少なくとも、そう思うことにしていた。」
ふと、灯の左目が金色に光る。すると、行き交う人々の「影」が不自然に揺れ始める。影の中から、人の形をした黒い靄(もや)のようなものが立ち上がるのが見える。
灯は目を伏せ、歩みを速める。
モノローグ(灯):
「見えないフリをすれば、あっちも私に気づかない。――ずっと、そう信じてきた。」
シーン2:翌朝 — 高校の教室
灯はクラスで完全に孤立している。隣の席の生徒が話しかけてくるが、灯は最小限の返事だけ。
昼休み、屋上でひとり弁当を食べていると、空に巨大な「残響」が浮かんでいるのが見える。ビルほどの大きさの、泣き叫ぶ女性の顔のような影。だが、他の誰も気づいていない。
灯:「……大きい。最近、どんどん増えてる。」
シーン3:帰り道 — 事件
夕方の商店街。灯が歩いていると、前方で人だかりができている。中年の男性が突然暴れ出し、「声が聞こえる!頭の中で叫んでる!」と叫んでいる。
灯の左目が反応する。男性の背中に、小さな「残響」がしがみついているのが見える。黒い手が男性の頭に伸び、囁いている。
灯(心の中):「あれが……人に取り憑いてる?今まで、そんなことは——」
灯が動けずにいると、背後から声がかかる。
蓮:「見えてるんだろ? ——なら、ちょっと手伝ってくれないか。」
振り返ると、黒いコートの青年が、にこりと笑って立っている。その手には、影で編まれたような漆黒の短刀。
シーン4:クライマックス — 初めての「選択」
蓮は素早く男性に取り憑いた残響を斬り払う。残響は霧のように消え、男性は気を失って倒れる。
灯:「あなた……何者?」
蓮:「質問に質問で返すのは好きじゃないけど——君こそ何者だ?その目で”視える”人間は、この街に君しかいない。」
蓮は灯に向き直り、表情を少しだけ真剣にする。
蓮:「残響が人間に取り憑き始めた。このままじゃ、この街は”沈む”。……君の力が必要だ。」
灯:「……私は関係ない。今まで関わらずにやってきた。」
蓮:「そうやって見て見ぬフリを続けた結果が、”これ”だよ。」
蓮が空を指す。灯が見上げると、東京の空一面を、無数の「残響」が覆い尽くしている。昼間見たものの何百倍もの数。
灯の目が見開かれる。
ラストページ:見開き
東京のスカイライン。ビル群の上空を、おびただしい数の残響が漂っている。その光景を見上げる灯と蓮の後ろ姿。
蓮:「”見えないフリ”はもう終わりだ。——ようこそ、境界線の向こう側へ。」
モノローグ(灯):
「この日、私の世界は壊れた。——いや、本当の世界が、始まった。」
第1話「私だけが見える世界」——了
次回予告:灯は蓮の導きで「影の世界」に初めて足を踏み入れる。そこで出会ったのは、かつて消えたはずの”ある人物”の残響だった——。
