パウンドケーキは、バター、砂糖、卵、小麦粉を同じ重量で作る伝統的な焼き菓子です。シンプルな材料で作れるにも関わらず、しっとりとした食感と豊かな風味で多くの人に愛され続けています。
しかし、「膨らまない」「パサパサになる」「生焼けになる」といった失敗に悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、製菓のプロが実践する確実に成功するパウンドケーキのレシピと作り方を詳しく解説します。
パウンドケーキの基本知識
パウンドケーキとは
パウンドケーキは18世紀のイギリスで生まれた伝統的なケーキです。名前の由来は、バター、砂糖、卵、小麦粉をそれぞれ1ポンド(約450g)ずつ使用していたことにあります。
現代では家庭でも作りやすいよう分量を調整していますが、基本の4つの材料を等量で作るという原則は変わりません。この黄金比率により、しっとりとした食感と上品な甘さを実現できるのです。
パウンドケーキの種類
パウンドケーキには大きく分けて3つの種類があります。
プレーンパウンドケーキ 基本の4材料のみで作るシンプルなタイプです。バターの風味を最も感じられ、紅茶やコーヒーとの相性が抜群です。
フルーツパウンドケーキ ドライフルーツやナッツを混ぜ込んだタイプです。レーズン、クランベリー、アーモンドなどが人気です。
フレーバーパウンドケーキ レモン、オレンジ、抹茶、チョコレートなどの風味を加えたタイプです。季節や好みに合わせて楽しめます。
基本のパウンドケーキレシピ
材料(18cmパウンド型1本分)
| 材料 | 分量 | 備考 |
|---|---|---|
| 無塩バター | 100g | 室温に戻しておく |
| グラニュー糖 | 100g | 上白糖でも可 |
| 卵 | 100g(約2個) | 室温に戻しておく |
| 薄力粉 | 100g | ふるっておく |
| ベーキングパウダー | 小さじ1/2 | 省略可 |
| バニラエッセンス | 数滴 | お好みで |
下準備
作り始める前の準備が成功の鍵となります。以下の下準備を必ず行ってください。
- オーブンを170℃に予熱する
- パウンド型にバターを塗り、薄力粉を薄くまぶす
- バターと卵を室温(20℃程度)に戻す
- 薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるう
- 卵を溶きほぐしておく
室温に戻す時間の目安は、バターが約1時間、卵が約30分です。急ぐ場合は、バターは薄く切って、卵は40℃程度のお湯で温めると時短できます。
作り方の手順
ステップ1:バターと砂糖をすり混ぜる
ボウルにバターを入れ、ハンドミキサーで白っぽくなるまで泡立てます。グラニュー糖を3回に分けて加え、その都度よく混ぜます。
この工程は「クリーミング」と呼ばれ、パウンドケーキの食感を決める最も重要な作業です。5分程度しっかりと混ぜ、空気を含ませることで軽やかな仕上がりになります。
ステップ2:卵を少しずつ加える
溶き卵を5〜6回に分けて加えます。一度に大量の卵を加えると分離の原因となるため、少しずつ丁寧に混ぜ込みます。
分離を防ぐコツ:卵を加える前に、薄力粉を小さじ1杯程度加えておくと分離しにくくなります。
ステップ3:粉類を混ぜ込む
ふるった薄力粉を2〜3回に分けて加えます。ゴムベラで底から持ち上げるように、切るように混ぜます。
練りすぎるとグルテンが形成され、硬い食感になってしまいます。粉気が少し残る程度で混ぜを止めるのがポイントです。
ステップ4:型に流し入れて焼成
生地を型に流し入れ、表面を平らにならします。170℃のオーブンで約40〜45分焼きます。
竹串を刺して何もついてこなければ焼き上がりです。表面が焦げそうな場合は、アルミホイルをかぶせて調整してください。
ステップ5:冷まして完成
焼き上がったら型から外し、ケーキクーラーの上で完全に冷まします。粗熱が取れたらラップで包み、一晩寝かせるとよりしっとりとした食感になります。
失敗しないためのポイント
材料の温度管理
パウンドケーキ作りで最も重要なのが材料の温度です。バターと卵が冷たすぎると分離の原因となり、熱すぎるとバターが溶けてしまいます。
適切な温度の目安は以下の通りです。
- バター:指で軽く押すとへこむ程度の柔らかさ
- 卵:手で触って冷たさを感じない程度
混ぜ方のコツ
各工程での混ぜ方が仕上がりを大きく左右します。
クリーミング時:空気をしっかり含ませるため、5分以上混ぜる 卵を加える時:分離を防ぐため、少しずつ丁寧に 粉を加える時:グルテンの発生を抑えるため、さっくりと混ぜる
焼成温度と時間
オーブンによって温度にばらつきがあるため、様子を見ながら調整が必要です。
焼成のポイント
- 最初の20分は絶対にオーブンを開けない
- 表面が焦げやすい場合は160℃に下げる
- 竹串チェックは焼成時間の10分前から行う
よくある失敗と対策
膨らまない場合
パウンドケーキが膨らまない主な原因は以下の通りです。
原因1:ベーキングパウダーの劣化 ベーキングパウダーは開封から6ヶ月程度で効力が弱くなります。新しいものを使用しましょう。
原因2:卵の温度が低すぎる 冷たい卵を使うと生地が重くなり、膨らみが悪くなります。
原因3:粉の混ぜすぎ グルテンが発達しすぎると、膨らみを阻害します。
パサパサになる場合
パサつきの主な原因と対策をご紹介します。
原因1:焼きすぎ 焼成時間を短縮し、竹串チェックを早めに行いましょう。
原因2:バターの量不足 レシピ通りの分量を正確に計量することが大切です。
原因3:保存方法 焼き上がり後は必ずラップで包み、乾燥を防ぎましょう。
生焼けになる場合
中心部が生焼けになる原因と対策です。
原因1:オーブン温度が高すぎる 表面だけ焼けて中が生焼けになります。160℃に下げて時間を延ばしましょう。
原因2:型が大きすぎる 生地が薄くなりすぎると焼成が難しくなります。適切なサイズの型を使用してください。
アレンジレシピ
レモンパウンドケーキ
基本レシピにレモンの風味を加えたさわやかなバリエーションです。
追加材料
- レモンの皮のすりおろし:1個分
- レモン汁:大さじ1
レモンの皮は卵を加える際に一緒に混ぜ込み、レモン汁は粉類を加える前に入れます。
チョコレートパウンドケーキ
ココアパウダーを使った濃厚な味わいのパウンドケーキです。
材料の変更
- 薄力粉:80g
- ココアパウダー:20g
ココアパウダーは薄力粉と一緒にふるって使用します。
ナッツパウンドケーキ
アーモンドやクルミを加えた食感豊かなバリエーションです。
追加材料
- お好みのナッツ:50g(粗く刻む)
ナッツは薄力粉をまぶしてから最後に加えます。沈みを防ぐ効果があります。
保存方法と日持ち
常温保存
パウンドケーキは常温で保存できます。ラップで包み、密閉容器に入れて保管すると3〜4日間美味しく召し上がれます。
直射日光や高温多湿を避け、涼しい場所で保存してください。
冷蔵保存
夏場や湿度の高い時期は冷蔵保存がおすすめです。約1週間保存可能です。
食べる30分前に冷蔵庫から出し、常温に戻してからお召し上がりください。
冷凍保存
長期保存したい場合は冷凍保存が便利です。スライスして個別にラップで包み、冷凍用保存袋に入れて約1ヶ月保存できます。
解凍は冷蔵庫で自然解凍するか、電子レンジで軽く温めてください。
型の選び方とお手入れ
パウンド型の種類
金属製 熱伝導が良く、きれいな焼き色がつきます。プロも愛用する定番タイプです。
シリコン製 型離れが良く、お手入れが簡単です。初心者におすすめです。
紙製 使い捨てタイプで衛生的です。プレゼント用に便利です。
サイズの選び方
一般的な18cmサイズは4〜6人分に適しています。家族の人数や用途に合わせて選びましょう。
- 15cm:2〜3人分
- 18cm:4〜6人分
- 21cm:6〜8人分
お手入れ方法
使用後は中性洗剤でやさしく洗い、完全に乾燥させてから保管します。金属製の場合は、油分を薄く塗っておくとサビ防止になります。
材料選びのポイント
バターの選び方
無塩バターが基本です。有塩バターを使う場合は、塩分量を考慮してレシピを調整してください。
発酵バターを使うとより風味豊かに仕上がりますが、価格が高めです。普段使いには一般的な無塩バターで十分美味しく作れます。
卵の選び方
新鮮な卵を使用することが重要です。購入から1週間以内のものを使いましょう。
卵のサイズによって分量が変わるため、レシピでは重量表示を参考にしてください。
薄力粉の選び方
製菓用薄力粉がおすすめですが、一般的な薄力粉でも問題ありません。グルテン含有量が少ない方がより軽い仕上がりになります。
道具と器具
必要な道具
基本の道具
- ボウル(大・中)
- ハンドミキサーまたは泡立て器
- ゴムベラ
- パウンド型
- ケーキクーラー
あると便利な道具
- キッチンスケール(デジタル計量器)
- 粉ふるい
- オーブン用温度計
道具の使い方のコツ
ハンドミキサー使用時は、低速から始めて徐々に高速にします。飛び散りを防げます。
ゴムベラは柔らかめのものを選び、ボウルの底までしっかりとすくい上げるように混ぜます。
プロが教える上級テクニック
焼成前の一手間
生地を型に入れた後、軽く台に打ちつけて空気を抜きます。この作業により、焼き上がりの気泡を防げます。
焼成中の温度調整
最初の20分は高温(170℃)で焼き、その後160℃に下げてじっくり焼き上げる方法もあります。表面がきれいに焼け、中までしっかり火が通ります。
仕上げのシロップ
焼き上がり直後に、砂糖と水を同量で作ったシロップを表面に塗ると、よりしっとりとした仕上がりになります。
季節のアレンジ
春のパウンドケーキ
桜パウンドケーキ 桜の花の塩漬けと桜パウダーを使った春らしいケーキです。
いちごパウンドケーキ
ドライいちごやいちごパウダーで甘酸っぱい味わいを楽しめます。
夏のパウンドケーキ
レモンパウンドケーキ さっぱりとした味わいで暑い季節にぴったりです。
バナナパウンドケーキ 完熟バナナを使った濃厚で栄養豊富なケーキです。
秋のパウンドケーキ
栗パウンドケーキ 甘露煮の栗を使った秋の味覚を堪能できます。
さつまいもパウンドケーキ 蒸したさつまいもを混ぜ込んだ自然な甘さが魅力です。
冬のパウンドケーキ
チョコレートパウンドケーキ 温かい室内で食べる濃厚なチョコレート味は冬の定番です。
シュトーレン風パウンドケーキ ドライフルーツとナッツをたっぷり使った贅沢な味わいです。
トラブルシューティング
型から外れない場合
原因:型の準備不足、焼きすぎ
対策:型に油脂をしっかり塗り、薄力粉をまぶす。焼きすぎの場合は、温かいうちに外しましょう。
表面が割れすぎる場合
原因:オーブン温度が高すぎる、生地の水分不足
対策:160℃に下げて焼成時間を延ばす。牛乳を大さじ1加えると改善されます。
中央部が沈む場合
原因:焼成不足、オーブンの開け閉めのしすぎ
対策:竹串チェックを確実に行い、焼成中はオーブンを開けないようにします。
栄養価と健康への配慮
基本レシピの栄養価(100gあたり)
| 栄養素 | 含有量 |
|---|---|
| エネルギー | 約380kcal |
| タンパク質 | 6.2g |
| 脂質 | 18.5g |
| 炭水化物 | 48.3g |
| 食塩相当量 | 0.1g |
ヘルシーなアレンジ
バターの一部を置き換え バターの半量をアーモンドプードルに置き換えると、香ばしさとヘルシーさがアップします。
砂糖の量を調整 砂糖を80gに減らし、はちみつを大さじ1加える方法もあります。
全粒粉の使用 薄力粉の一部を全粒粉に置き換えると、食物繊維が豊富になります。
まとめ
パウンドケーキのレシピ・作り方について詳しく解説しました。基本の4材料を等量で混ぜるシンプルなケーキですが、各工程のポイントを押さえることで、プロ級の仕上がりを実現できます。
成功の秘訣は材料の温度管理と正しい混ぜ方です。特にクリーミングと粉合わせの工程は、食感に大きく影響するため丁寧に行いましょう。
失敗を恐れずに何度も作ることで、必ずコツを掴めるはずです。基本をマスターしたら、季節の素材を使ったアレンジも楽しんでください。
手作りパウンドケーキの温かい香りと優しい味わいで、大切な人との時間をより豊かに彩ってください。きっと喜んでもらえる自慢の一品になるでしょう。

