妊婦・妊娠中に食べてはいけないNG食べ物やダメな飲み物・食事リストとおすすめ食べ物【医師監修】

妊婦NGダメな食べ物

妊娠は女性の体にとって特別な時期です。この期間中、あなたの体は赤ちゃんの成長と発達をサポートするために懸命に働いています。そのため、食べるものや飲むものに細心の注意を払うことが非常に重要です。

妊娠中の食生活は、単にあなた自身の健康を維持するだけでなく、お腹の中で成長している赤ちゃんの健康な発育に直接影響します。適切な栄養摂取は、胎児の脳発達、骨格形成、臓器機能の発達に不可欠であり、将来の健康リスクを低減する基盤となります。

一方で、特定の食品や飲料は妊娠中のリスクを高める可能性があり、これらを避けることが母子の健康を守るために必要です。この記事では、妊婦さんが避けるべき食べ物と飲み物、そしてむしろ積極的に摂るべき栄養素について詳しく解説します。

この記事でわかること

妊娠中の食生活の重要性

この情報を参考に、安全で栄養バランスの取れた妊娠生活を送りましょう。

妊娠中に避けるべき食べ物

1. 生肉および加工肉製品

妊娠中は免疫力が低下するため、食中毒のリスクが通常よりも高まります。生肉や十分に加熱されていない肉には、以下のような危険な微生物が含まれている可能性があります。

  • リステリア菌:この細菌は流産、早産、死産、新生児感染症のリスクを高めます
  • トキソプラズマ原虫:先天性トキソプラズマ症を引き起こし、胎児の目や脳に深刻な問題を生じさせる可能性があります
  • サルモネラ菌:激しい下痢、嘔吐、腹痛を引き起こす可能性があり、脱水症状につながります
  • 大腸菌:特にO157:H7などの病原性大腸菌は深刻な合併症を引き起こす可能性があります

避けるべき主な食品:

  • 生ハム、サラミ、生肉製品
  • レアステーキや調理不足の肉料理
  • 生レバーや内臓肉料理
  • 加熱不十分のバーベキュー

安全に食べるためのポイント

  • 肉はしっかりと中心部まで加熱する(中心温度75℃以上で安全)
  • 肉調理後の食器や調理器具は十分に洗浄する
  • 生肉と調理済み食品を分けて保存する

2. 生魚および未調理のシーフード

生魚や未調理のシーフードには、細菌や寄生虫が含まれている可能性があります。また、特定の魚には水銀などの有害物質が含まれていることがあります。

避けるべき主な食品

  • 寿司、刺身、生牡蠣などの生魚介類
  • 水銀含有量の高い大型魚(マグロ、サメ、カジキ、メカジキなど)
  • 未調理の貝類(カキ、アサリなど)

特に注意が必要な水銀含有魚

  • キンメダイ
  • マグロ(大型種、特に本マグロ)
  • カジキ
  • メカジキ
  • サメ
  • キングマッカレル

安全な魚の選択

  • 水銀含有量の低い魚(サーモン、タラ、イワシ、アジ、イカ、エビなど)を選ぶ
  • 水銀含有量が中程度の魚(マグロ缶詰など)は週に1〜2回程度に制限する
  • 魚は必ず十分に加熱してから食べる

3. 未殺菌乳およびそれを使った製品

未殺菌乳(生乳)とそこから作られた製品には、リステリア菌や他の病原体が含まれている可能性があります。

避けるべき主な食品

  • 未殺菌の乳製品
  • 青カビチーズ(ゴルゴンゾーラ、ロックフォールなど)
  • 白カビチーズ(カマンベール、ブリーなど)
  • フェタチーズ
  • リコッタなどの一部のフレッシュチーズ

安全な選択

  • パッケージに「低温殺菌製品」と明記されている乳製品を選ぶ
  • ハードチーズ(チェダー、パルメザンなど)は比較的安全
  • クリームチーズやプロセスチーズは通常安全

4. 生卵およびそれを使った製品

生卵や半熟卵にはサルモネラ菌が含まれている可能性があり、食中毒のリスクを高めます。

避けるべき主な食品

  • 生卵や半熟卵
  • マヨネーズやドレッシング(手作りの場合)
  • ティラミス、ムース、メレンゲなどの生卵を使ったデザート
  • 生クッキー生地や生ケーキ生地
  • 温泉卵やポーチドエッグ

安全な調理方法

  • 卵は完全に火が通るまで調理する(黄身が固まるまで)
  • 市販の低温殺菌されたマヨネーズやドレッシングを選ぶ
  • ベーキングでは卵を含む生地を味見しない

5. 未洗浄の野菜や果物

野菜や果物は妊娠中に必要な栄養素の重要な供給源ですが、適切に洗浄されていない場合は土壌由来の細菌や寄生虫(特にトキソプラズマ原虫)に感染するリスクがあります。

注意が必要な食品

  • 土がついたままの根菜類
  • 未洗浄のサラダ野菜
  • 農薬が使用されている可能性のある輸入果物

安全に食べるためのポイント

  • 野菜や果物は流水でしっかり洗う
  • 野菜ブラシを使って表面の汚れを落とす
  • 皮を剥ける果物は皮を剥いて食べる
  • 有機野菜であっても必ず洗浄する

6. スプラウト類(もやし、かいわれなど)

もやしなどのスプラウト類は栄養価が高いですが、生育環境が細菌の繁殖に適しているため、大腸菌やサルモネラ菌などの病原体に汚染されるリスクが高いです。

注意が必要な食品

  • 生のもやし
  • かいわれ大根
  • アルファルファスプラウト
  • ブロッコリースプラウト

安全に食べるためのポイント

  • スプラウト類は必ず十分に加熱してから食べる
  • 生で食べる場合は、信頼できる店舗から購入し、新鮮なものを選ぶ
  • 自家製スプラウトは避ける

7. 加工食品・インスタント食品

加工食品やインスタント食品には、保存料や添加物が多く含まれていることがあり、過剰な摂取は妊娠中の母体や胎児に影響を与える可能性があります。

控えるべき食品

  • インスタント麺
  • 市販の冷凍食品
  • 加工肉製品(ソーセージ、ハム、ベーコンなど)
  • 缶詰食品(高塩分のもの)

代替となる健康的な選択肢

  • 自家製の冷凍ストック食品
  • 無添加・低塩分の食品
  • 新鮮な食材を使った手作り料理

妊娠中に避けるべき飲み物

1. アルコール飲料

妊娠中のアルコール摂取は、胎児性アルコール症候群(FAS)など、胎児の発育に深刻な問題を引き起こす可能性があります。医学的見地からは、妊娠中のアルコール摂取の「安全量」は確立されていないため、完全に避けることが推奨されています。

避けるべき飲み物

  • ビール、ワイン、日本酒、焼酎などすべてのアルコール飲料
  • アルコールを含む料理(煮切りが不十分な料理酒など)
  • ノンアルコールビールや微量アルコール含有飲料

代替となる飲み物

  • フルーツジュース(低糖のもの)
  • ハーブティー(安全なもの)
  • 炭酸水
  • モクテル(ノンアルコールカクテル)

2. カフェイン飲料

カフェインは胎盤を通過し、胎児の代謝に影響を与える可能性があります。過剰なカフェイン摂取は、流産や低出生体重児のリスクを高めるとの研究もあります。

控えるべき飲み物

  • コーヒー
  • 紅茶、緑茶、烏龍茶などのカフェイン含有茶
  • エナジードリンク
  • コーラなどのカフェイン含有炭酸飲料

カフェイン摂取のガイドライン

  • 1日のカフェイン摂取量は200mg以下に抑える(コーヒー約1〜2杯相当)
  • デカフェコーヒーやカフェインレスティーを選択する
  • カフェイン含有量を確認する習慣をつける

3. 未殺菌ジュース

市場の屋台や一部の専門店で提供される未殺菌の生ジュースには、細菌が含まれている可能性があります。

注意が必要な飲み物

  • 市場や屋台で販売されている搾りたてジュース
  • 「低温殺菌していない」と表示されているジュース
  • 自家製の未加熱ジュース

安全な選択

  • パッケージに「低温殺菌済み」と表示されているジュース
  • 自宅で作る場合は、果物をよく洗浄し、できれば加熱処理する

4. 過剰な糖分を含む飲料

妊娠中の過剰な砂糖摂取は、妊娠糖尿病のリスクを高め、過剰な体重増加につながる可能性があります。

控えるべき飲み物

  • 砂糖添加飲料(清涼飲料水など)
  • フルーツジュース(100%でも砂糖含有量が高い)
  • スポーツドリンク
  • フレーバーコーヒーやティー

代替となる健康的な選択肢

  • 無糖のハーブティー
  • 果物を少量入れた水(フルーツウォーター)
  • 低糖の豆乳や牛乳

5. 特定のハーブティー

一部のハーブティーには、子宮収縮作用のある成分が含まれているものがあり、妊娠中は注意が必要です。

避けるべきハーブティー

  • セージ
  • ペパーミント(大量摂取の場合)
  • ローズマリー
  • カモミール(大量摂取の場合)
  • アロエベラ
  • コンフリー

安全に飲めるハーブティー

  • ジンジャー(少量)
  • レモンバーム
  • ローズヒップ
  • リンデン

妊娠中におすすめの食べ物・飲み物

妊娠中に避けるべき食品についてお伝えしましたが、積極的に摂るべき栄養素や食品もあります。バランスの良い食事で、母体と胎児の健康をサポートしましょう。

1. 葉酸が豊富な食品

葉酸は神経管閉鎖障害の予防に重要なビタミンB群の一種です。妊娠初期に特に重要ですが、妊娠全期間を通じて必要です。

葉酸が豊富な食品

  • ほうれん草やケール、小松菜などの緑黄色野菜
  • レバー(十分に加熱したもの)
  • レンズ豆、ひよこ豆などの豆類
  • オレンジなどの柑橘類
  • アボカド
  • ブロッコリー

2. 鉄分が豊富な食品

妊娠中は血液量が増加するため、鉄分の需要が高まります。鉄欠乏性貧血を予防するために、鉄分を多く含む食品を積極的に摂りましょう。

鉄分が豊富な食品

  • 赤身肉(十分に加熱したもの)
  • 鶏肉や豚肉(十分に加熱したもの)
  • ほうれん草などの緑黄色野菜
  • 豆類や豆腐
  • ナッツ類
  • ひじきなどの海藻類

3. カルシウムが豊富な食品

カルシウムは胎児の骨や歯の形成に不可欠な栄養素です。妊娠中は特に需要が高まります。

カルシウムが豊富な食品

  • 低脂肪乳や乳製品(ヨーグルト、チーズなど)
  • 小魚(イワシやしらすなど)
  • 豆腐や納豆
  • 緑黄色野菜(小松菜、チンゲン菜など)
  • アーモンドなどのナッツ類

4. ビタミンDが豊富な食品

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素で、骨の発達に重要な役割を果たします。

ビタミンDが豊富な食品

  • 脂の多い魚(サーモン、サバなど—水銀含有量の低いものを選ぶ)
  • 卵黄(十分に加熱したもの)
  • 強化された乳製品
  • きのこ類(特に干ししいたけ)

5. ヨウ素が豊富な食品

ヨウ素は胎児の脳と甲状腺の発達に重要な栄養素です。

ヨウ素が豊富な食品

  • ヨウ素添加食塩
  • 海藻類(昆布、わかめなど—摂取量に注意)
  • 魚介類(水銀含有量の低いものを選ぶ)
  • 乳製品

6. オメガ3脂肪酸が豊富な食品

オメガ3脂肪酸は胎児の脳と眼の発達に重要な栄養素です。

オメガ3脂肪酸が豊富な食品

  • 脂の多い魚(サーモン、イワシ、サバなど—水銀含有量の低いものを選ぶ)
  • アマニ油やエゴマ油
  • クルミ
  • チアシード

7. タンパク質が豊富な食品

タンパク質は胎児の組織形成や成長に不可欠な栄養素です。

タンパク質が豊富な食品

  • 肉類(十分に加熱したもの)
  • 魚介類(十分に加熱し、水銀含有量の低いものを選ぶ)
  • 卵(十分に加熱したもの)
  • 豆腐や納豆などの大豆製品
  • レンズ豆やひよこ豆などの豆類
  • ナッツ類

妊娠中の食事:安全のための7つの実践ポイント

  1. 食品は十分に加熱する:肉や魚、卵は中心部まで十分に加熱し、75℃以上で安全です。
  2. 調理器具を清潔に保つ:生肉や生魚を扱った後は、まな板や包丁などの調理器具をしっかり洗浄しましょう。
  3. 食品の保存温度に注意する:冷蔵庫は5℃以下、冷凍庫は-18℃以下に設定し、食品は適切な温度で保存しましょう。
  4. 賞味期限を確認する:食品の賞味期限や消費期限を必ず確認し、期限切れの食品は避けましょう。
  5. 外食時は信頼できる店を選ぶ:食品の安全管理が適切に行われている店を選びましょう。
  6. バランスの良い食事を心がける:様々な食品からバランス良く栄養を摂りましょう。
  7. サプリメントは医師と相談する:妊婦用サプリメントや栄養補助食品は、必ず医師や助産師と相談の上、適切なものを選びましょう。

妊娠期別の食事の注意点

妊娠初期(0〜15週)

妊娠初期は悪阻(つわり)が起こりやすい時期です。食べられるものが限られることもありますが、以下のポイントに注意しましょう。

  • 葉酸の摂取:神経管閉鎖障害の予防のため、葉酸を十分に摂りましょう。
  • 少量頻回の食事:吐き気を和らげるために、少量ずつ頻繁に食べるようにしましょう。
  • 水分補給:脱水を防ぐために、こまめに水分を摂りましょう。
  • 香りの強い食品に注意:つわりを悪化させる可能性のある香りの強い食品は避けましょう。

妊娠中期(16〜27週)

妊娠中期はつわりが落ち着き、食欲が戻ってくる時期です。胎児の成長が著しい時期でもあるため、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

  • カルシウムの摂取:胎児の骨格形成に必要なカルシウムを十分に摂りましょう。
  • 鉄分の摂取:貧血予防のために鉄分を積極的に摂りましょう。
  • 適切な体重管理:過度な体重増加を避けるために、バランスの良い食事を心がけましょう。

妊娠後期(28週〜出産)

妊娠後期は胎児がさらに成長し、母体の負担が増える時期です。また、出産に向けて体力をつける時期でもあります。

  • タンパク質の摂取:胎児の成長と出産に向けた体力づくりのために、良質なタンパク質を摂りましょう。
  • 消化しやすい食事:胃が圧迫されるため、消化しやすい食事を心がけましょう。
  • 便秘対策:食物繊維と水分を十分に摂り、便秘を予防しましょう。
  • 塩分控えめの食事:むくみや高血圧を予防するために、塩分は控えめにしましょう。

健康的な妊娠生活のために

妊娠中の食生活は、母体と胎児の健康に直接影響します。避けるべき食品や飲料について知識を持ち、安全な選択をすることが大切です。同時に、必要な栄養素をバランス良く摂取することも重要です。

この記事で紹介した情報を参考に、妊娠中の食生活を見直してみてください。不安なことや疑問があれば、必ず担当の医師や助産師に相談しましょう。個人の健康状態や妊娠状況によって、特別な注意が必要な場合もあります。

健康的な食生活は、母子の健康を守るための基本です。安全で栄養バランスの良い食事を心がけ、充実した妊娠生活を送りましょう。

よくある質問(FAQ)

Q1: 妊娠中にお寿司を食べることはできますか?

A: 生魚を使ったお寿司は避けるべきですが、完全に加熱された魚(焼き魚や蒸し魚)を使ったお寿司や、野菜や卵(十分に加熱したもの)を使ったお寿司は食べることができます。また、店舗によっては妊婦向けの安全なお寿司メニューを提供しているところもあります。

Q2: チーズはすべて避けるべきですか?

A: すべてのチーズを避ける必要はありません。熟成したハードチーズ(チェダー、パルメザンなど)や、低温殺菌乳で作られたチーズは一般的に安全です。避けるべきなのは、主に青カビチーズや白カビチーズ、未殺菌乳で作られたフレッシュチーズです。

Q3: 妊娠中のカフェイン摂取の安全な量はどれくらいですか?

A: 一般的には、1日200mg以下のカフェイン摂取が安全とされています。これはコーヒー約1〜2杯に相当します。ただし、個人差があるため、心配な場合はカフェインの摂取を減らすか避けることをお勧めします。

Q4: 妊娠中に魚介類はまったく食べない方が良いのでしょうか?

A: 魚介類はオメガ3脂肪酸などの重要な栄養素の供給源であるため、すべて避ける必要はありません。水銀含有量の低い魚(サーモン、タラ、イワシなど)を選び、十分に加熱して食べることが推奨されます。ただし、水銀含有量の高い大型魚(マグロ、サメ、カジキなど)は避けるか、摂取量を制限しましょう。

Q5: 妊娠中にハーブティーを飲んでも大丈夫ですか?

A: 一部のハーブティーは安全ですが、すべてのハーブティーが妊娠中に安全というわけではありません。ペパーミント、ジンジャー(少量)、レモンバームなどは一般的に安全とされていますが、セージ、ローズマリー、コンフリーなどは避けるべきです。新しいハーブティーを試す前に、医師に相談することをお勧めします。

☆お気に入りに追加
  • URLをコピーしました!
この記事でわかること