芸術の美と数学の美は同じ脳領域を活性化する

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ガガログ編集部

数式の美しさと脳の報酬回路の関係

美しさは、脳の報酬回路の一部で処理されることが分かりました。数学は、自然の驚異に匹敵するような美の源ではないように思われるかもしれませんが、エレガントな数式には非常に美しいものがあります。

研究者たちは、数学者が以前に美しさの尺度で評価した一連の方程式を被験者に見せました。

数式の美しさの要素

数式の美しさは、単純さ、対称性、優美さ、あるいは不変の真理の表現に由来するものです。
数学者たちは、数学の抽象性こそが美の究極の頂点であると述べています。

例えば、常に美しいと評価されている「オイラーの恒等式」は、その美しさが高く評価されています。

美しい数式を見たときの脳活動

被験者が美しい方程式を見たとき、人が美しい芸術を見たり、美しい音楽を聴いたりしたときと同じように、脳の一部が活性化されることがわかりました。

その脳の部位は内側眼窩前頭皮質と呼ばれ、脳の前部にあり、快楽と報酬の回路の一部をなしています。

美しさと脳活動の相関関係

美しい音楽を聴いたり、美しいアートを見たりすると、この脳領域がより強く活性化されることが知られています。
一方、醜い絵を見たときには、脳の活動には特別なパターンは見られませんでした。

この結果から、音楽や絵画よりもはるかに抽象度の高い数学においても、同じ脳領域が美しさの認識に関与していると考えられます。

神経美学の台頭

この発見は、新興の分野である「神経美学」の考え方を裏付けるものです。

神経美学は、美の経験が、それが目や耳、あるいはより抽象的な方法である知性を通して認識されるかどうかにかかわらず、脳の特定の部分で処理されるという考え方です。

美しさの定量化の可能性

さらに、この研究は、より美しい数式ほど、内側眼窩前頭皮質の活性化が強くなり、美しさが定量化できることを示唆しています。

視覚的な美しさや音楽的な美しさの経験と同様に、脳内の活動は、人々が美しさの経験をどれだけ強く宣言したかに強く関連していることが発見されました。

この例では、美しさの源が極めて抽象的であっても同様の結果が得られたのです。

芸術と数学の美の融合

この研究結果は、芸術と数学の美しさが脳内で同じような経路を通して処理されることを示しています。つまり、芸術と数学は別々の領域ではなく、美しさという点では共通の土台を持っているのです。

数学者や芸術家、さらには美の探求者にとって、この発見は大きな意味を持つことでしょう。

脳と美の関係に関する研究の重要性

脳と美の関係性に関する研究は、人間が美しさをどのように認識し、経験するのかを理解する上で重要です。今回の研究結果は、美しさの認識に関与する脳領域の特定やその働きの解明に一石を投じたと言えます。

今後さらに研究が進めば、美的経験の神経メカニズムが明らかになり、芸術、数学、さらには様々な分野への応用が期待できます。

この研究は、芸術の美と数学の美が同じ脳領域を活性化することを明らかにしました。数式の美しさも、芸術作品や音楽と同様に、脳の報酬回路の一部で処理されています。

この発見は、美の本質を探る新たな手がかりとなります。美しさの認識には共通の神経基盤があり、その程度は脳活動から定量化できる可能性があることが分かりました。

今後、脳と美の関係性に関するさらなる研究が進めば、人間が美をどのように経験するのかについて新たな知見が得られるでしょう。